(※写真はイメージです/PIXTA)

教員採用試験の倍率は、2000年度にピークを迎えたあと、20年以上にわたって下がり続けています。その背後に潜む原因とは何か。株式会社対話教育所の代表取締役・小山英樹氏が解説していきます。

ブラックな職場は本当か?調査によって判明したのは…

■本当に教職はブラックなのか…教員アンケート調査に見る実態

 

では、教師という仕事はブラックなだけのつらい仕事かというと、決してそうではありません。教師たちの実態に迫る調査報告を見れば明らかです。

 

北海道教育大学、愛知教育大学、東京学芸大学、大阪教育大学の4大学から成る組織、HATOが主体となり、全国の公立小・中・高校の学校と教師を対象にアンケート調査を行いました。HATOは大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築を目的として、文科省の助成のもとに結成された公的な組織です。

 

本調査「教員の仕事と意識に関する調査」は、教員の仕事の実態や学習指導の実践状況、魅力や悩み、学校教育などに関する意識と実態を調べることをテーマに行われました。

 

アンケートが2015年夏に実施され、2016年2月に報告書としてまとめられました。まず教師の平日の勤務実態ですが、仕事時間は学校と家を合わせて平均11時間半、睡眠時間は平均5時間台でした。休日も部活動などの指導のために出勤している人が多く、休日出勤が月に「8日以上」も1割以上います。

 

この数字を見ると、教師は労働時間が長くて休日が少なく、労働基準法が定める基本の労働時間の上限(1日8時間、1週間に40時間)を超えていることは間違いないのです。

 

仕事内容の内訳は、「授業」と「その計画や準備」「授業以外の子どもへの指導」が大半ですが、「保護者対応」や「会議」「事務業務」など子どもと直接関わらない仕事も1週間(土日含む)に平均13時間ほどあります。

 

また、「生活指導の必要な子どもが増えた」という悩みも小中学校で8割以上と高く、「保護者や地域住民への対応が負担だ」という回答も小中学校では5割を超えました。職場の問題では、ベテラン教師や管理職と若手教師の世代間ギャップもあります。

 

新しいことにどんどんチャレンジしたい若手と、現状維持したいベテランの間で意見がぶつかり合うことは珍しくありません。「そんなに頑張ると息切れするよ」「今までこうしてきたから。これがこの学校のやり方だから」など、若手のやる気をそぐような言動をするベテランも、残念ながら一部にはいるのです。

 

 

小山 英樹

株式会社対話教育所 代表取締役

一般社団法人日本教育メソッド研究機構(JEMRO) 代表理事

一般社団法人日本青少年育成協会(JYDA) 会員

※本連載は、小山英樹氏の著書『教室改革』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

教室改革

教室改革

小山 英樹

幻冬舎メディアコンサルティング

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