(※写真はイメージです/PIXTA)

欧州におけるM&A活動は、かつての状況を完全に取り戻しただけなく、さらなる加速が見て取れます。M&Aを勢いづけているのは「技術開発」そして「デジタル化」であり、これらの進展が、M&Aのプロセスを大きく前進させているといえるのです。フランスとイギリスの状況を中心に解説します。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

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再び活気を取り戻した欧州のM&A市場

欧州では、合併および買収(M&A)活動は以前の勢いを完全に取り戻しています。MergermarketとDatasiteがこのほど公開した報告書『Deal Drivers』(Deal Drivers:EMEA HY 2021)でも紹介されている通り、M&Aの件数と金額は2021年の上半期で大幅に上昇し、あらゆる業界で伸びが見られました。

 

このように、回復した勢いはさらに加速しています。ここしばらくの間、M&Aの原動力となってきたさまざまな要因として、企業と未公開株式(PE)投資家の両方とも現金が潤沢にあること、そしてデジタル技術において変革をもたらすようなM&Aに踏み切ることが必要とされていることなどがあります。

 

この状況を受け、欧州での成長は堅調なものとなるはずで、国際通貨基金(IMF)は、欧州のGDPは、昨年は5.8%減少したものの、2021年には4.3%、2022年には4%成長することになると予測しています。

2021年下半期、M&Aの活況が予見できる3つの業界

さらに、欧州でのM&Aの件数は2021年の上半期は4,691件で、これは2020年の下半期からは9%、昨年の同時期からは42%上昇していました。

 

欧州全体では、上半期のM&Aの金額は5,780億ユーロで、これは2020年の下半期からは15%、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより大幅に低調化していた昨年の同時期からは79%上昇していました。

 

2021年の上半期は、PEの投資活動も堅調で、2021年の上半期に株式取得に1,932億ユーロを投入しており、これは昨年1年間に株式取得に投入された額である1,945億ユーロにほぼ匹敵しています。また、2019年(1,688億ユーロ)と2018年(1,747億ユーロ)の1年間の総額を大幅に超えています。この分野では、上半期のイグジット件数は614件となり、金額にして1,014億ユーロにのぼりました。これは、2020年の同時期と比較すると、件数は77%、金額は120%の上昇となります。イグジット活動は現在、パンデミック前の水準を超えています。

 

最近の企業の買収事例から判断すると、2021年の下半期にM&A活動が活況となりそうな業界が3つあります。技術、メディア、および情報通信(TMT)、消費財、ならびに産業および化学(I&C)の各業界では、大きなM&Aが予想されます。

 

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