仏:今後のデジタル化でM&Aプロセスはさらに強化
フランスでM&A関係者のほとんどは、勤務先の企業や業界全体におけるM&Aプロセスのデジタル技術の成熟度・技術の洗練度は中程度であると評価しており、今後5年をかけて高い水準になるだろうと予想しています。
EMEA各国の関係者も同様の見方をしており、勤務先の企業でM&Aプロセスに関連するデジタル技術を採用するにあたって主な障壁となっているのは財政上の制約、セキュリティー、プライバシーの問題であると考えています。
新型コロナウイルスの影響を受け、M&A業界は勤務形態およびM&Aの実行方法を変えました。例えば、世界屈指のユニバーサルバンクであるBNP Paribasやフランスの多国籍金融企業であるNatixisの取締役の上層部はどちらも、デジタル化のトレンド・技術によってM&Aプロセスはさらに強化されていると指摘しています。
多くのM&Aはいまやデジタルプラットフォーム上で行われ、実際にどこかの場所で行うという側面は極めて限定的になっています。バーチャルデータルームはいまや標準的なものとなっており、デューディリジェンス目的でドローンを使用することも一般的となっています。
英:技術・デジタル化がデューディリ向上に寄与
イギリスでM&A関係者の大部分は、今後5年で新たな技術によってデューディリジェンスプロセスにおける分析能力が拡大するはずだと考えています。イギリスの関係者の90%以上は、勤務先の企業および業界全体におけるM&Aプロセスのデジタル技術の成熟度や技術の洗練度は中程度であると評価しており、今後5年をかけて高い水準になるだろうと予想しています。
イギリスの関係者の半数以上は、M&Aの重要な段階のなかで、技術やデジタル化が最もデューディリジェンスの向上に寄与できる可能性があると考えています。イギリスのM&A関係者のほとんどは、今後5年をかけてビッグデータ、AI・機械学習、ならびにブロックチェーンなどの技術が、M&Aプロセスに最も大きな変革をもたらす可能性があると考えています。
世界的な投資銀行であるHoulihan Lokeyや、イギリスで企業財務サービスを専門に行う企業であるArma PartnersのM&A担当者の上層部はどちらも、技術はM&A活動にとって追い風になると考えています。現在、AIツールを用いることでより豊かで深いデータ分析が可能になったことで、M&Aがより多く、迅速に行われるようになっています。いまや技術のおかげで、対象となる企業およびその顧客の選考性をより細やかに検討することができるようになっているのです。
重要なM&Aプロセスに変革をもたらす「技術統合」
フランスまたはイギリスのM&A関係者は、どちらも、今後5年をかけて革新的な技術によってデューディリジェンスにおける分析能力が強化されることになるはずだと考えています。また、こうした技術によって、データ管理、コミュニケーション、シナリオ分析、アナリティクスや報告が強化されると見込んでいます。
ここ数年でM&Aプロセスの各分野において、いくつかの大きな技術の進歩が見られたことに疑いの余地はありません。そして今後5年、それ以降の将来も含めて、新興の技術がこのM&Aプロセスの重要分野に変革をもたらす可能性があり、そうした技術は次世代のバーチャルデータルームには標準で備え付けられることになるかもしれないと、フランスとイギリスの両方の関係者は予想しています。また、こういった技術は今後のM&Aプロセスを完全に変えてしまう可能性すらあります。
さらに、こうした技術はアセットマーケティングの分野でも同様に役立てることができるものであり、各マンデートにおいてバイヤーの行動に関するインサイトが欠如しているなど、このプロセスにおける大きな課題のうちいくつかの解決につながる可能性もあると、フランスとイギリスの関係者のほとんどは考えています。
清水 洋一郎
Datasite 日本責任者
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