客室内での盗難は、宿泊者側の対処が判断基準に
では、客室内で盗難があった場合にはどうなるのでしょうか?
まず原則は、客室に宿泊している宿泊者自身が責任を負うことになります。やはり、自分で管理していたものなので、自分自身で責任を負うという形になるのですね。
一方で、例外的にホテル・旅館側が責任を負うケースもあります。たとえば、ホテル・旅館側が管理していたマスターキーが盗難にあったため客室内に犯人が入った場合や、清掃中に犯人が侵入して盗難が発生したケースなどです。
このような場合は、客室に宿泊している宿泊者自身が対策することができない状況下での盗難であるため、その原因を作ったホテル・旅館が責任を負うことになるわけです。
「どちらが、どれだけしっかりと対策していたか」
ホテル・旅館側ができる対策は、まずは当然ですが、盗難が発生しないようセキュリティや警備体制を整えることです。それに加え、お客様から荷物を預かる際は、貴重品が含まれていないかどうかの確認も欠かせません。
宿泊者側としても、やはりまずは盗難が発生しないよう、自分の荷物をしっかり管理することです。それに加え、貴重品を預ける際は明確に申告することが重要です。
法律上はややこしい規定や裁判例があり「こういったケースでは必ずホテル・旅館側または宿泊者側が責任を負う」等と断定できない現状があります。
結局は「どちらが、どれだけしっかりとした対策を行っていたか」という点が重要になります。
貴重品の破損や盗難が発生したら、せっかくの旅行も台無しです。ホテル・旅館側と宿泊者側の双方が留意して、楽しい思い出が残せるようにしたいものです。
佐山 洸二郎
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
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