日本のホテル・旅館の多くは「所有・直営」方式
日本のホテル・旅館の経営形態としていちばん多いのは「所有・直営」方式といわれるものです。表記からもおおよそ推察できると思いますが、ホテル・旅館の建物自体の所有者が経営主体となり、不動産オーナーとしての知識と、ホテル・旅館運営の知識の双方を駆使してホテル・旅館を直接運営する、いちばんシンプルな経営形態です。
日本の伝統的な旅館のほとんど、多くのシティホテル、鉄道系ホテル、航空系ホテルがこの所有・直営方式で運営されています。
1960年代のアメリカで、所有と運営が分かれはじめた
かつてはアメリカのホテルも、この所有・直営方式が最も多い経営形態だったのですが、1960年ごろから「不動産の所有(オーナー)」と「ホテルの運営(オペレーター)」が分かれるようになりました。
これが「マネジメント・コントラクト」(直訳すると運営契約)方式です。
不動産オーナーは不動産オーナーとして、ホテルオペレーターはホテルオペレーターとして、それぞれの専門化が進みはじめました。それぞれが専門スキルを発揮することにより、相乗効果でホテル経営の効率化を狙ったものです。
しかし、不動産オーナーとホテルオペレーターが、それぞれどのような責任を負ってホテル経営をするか、すなわち、どのように利害関係のバランスをとるかについて、その後さまざまな変遷をたどることになります。
1970年代までは「ホテルオペレーター」優位の時代
マネジメント・コントラクト勃興の地であるアメリカでの、これまでの歴史を見ていきましょう。
1970年代までは「オペレーター」側が優位な時代です。
そもそも、このマネジメント・コントラクト形式は、「不動産オーナー」側が不動産や経費等の経営基盤を提供し、「ホテルオペレーター」側はとくに経済的な支出をすることなくホテル運営を行い、利益の一部を受け取るという形式です。
すなわちホテルオペレーターは、主に総支配人をはじめとする主要な人物を派遣することにより、ほとんどノーリスクでリターンだけ得るという図式になっていたのです。
したがって、仮にホテル運営が上手くいかなかった場合の損失は、もっぱら不動産オーナー側が負担するという構造になります。
このような背景を持つマネジメント・コントラクト方式は、必然的に、ホテルオペレーター側が優位な立場で広まっていったのです。
1990年代までは「不動産オーナー」優位の時代
しかし、このようなホテルオペレーター優位の時代は、長くは続きませんでした。
自分たちだけがリスクを負う形に異議を唱えた不動産オーナーが、次々とホテルオペレーターに裁判を起こしたのです。
裁判所は、不動産オーナー側に立つ判決を出すことが多く、次第に不動産オーナー優位の時代へとシフトしていきました。
主な裁判例として、
●ホテルオペレーターによる不動産オーナーへの過剰な設備的資金の要求
●ホテルオペレーターへの報酬の高額化
●契約期間の長期化による、経営不振時の不動産オーナーの一方的な損失継続
などがあります。
また、不動産オーナーが優位になっていった背景には、圧倒的な資金力や影響力を持つ不動産オーナーの参入や、ホテルオペレーター間の競争激化もあるといわれています。
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