(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、ネットショッピングの普及などにより需要の変動が見通しづらく、在庫管理はこれまで以上に難しくなっていると、株式会社オンザリンクス代表の東聖也氏はいいます。経営者を悩ませる「在庫問題」……解消のカギとなるかもしれない「RSI計画」についてみていきましょう。

過剰在庫が常態化、適正化への最適なシステムは?

製造業が在庫を最適化するには、どんな形でも構いませんので、先行きの在庫を見える化しなければなりません。

 

製造業の在庫管理では、製品の生産計画を基に組立品や部品、原材料を洗い出します。このとき、現在の在庫だけを把握している場合と、先行きの在庫を把握している場合とでは、在庫最適化のレベルはまったく違ってくるからです。

 

流通、小売り業では、単純に商品を仕入れて、在庫し、受注に対して必要数量を出荷すればいいのですが、製造業では生産計画を基に必要な部品や原材料を調達し、欠品しないように在庫をもつ必要があります。

 

例えば、営業が1週間後に製品を100個納品する受注を獲得したとき、製品在庫が足りなければすぐに生産する必要があります。しかし、生産するために必要な部品がちゃんと在庫されているかどうかを、構成部品すべてについて確認しなければなりません。

 

このような複雑な仕組みのなかで、今だけの在庫を見て営業部門や生産部門が動いていたのでは、現場はさまざまなリスクへの対応で振り回され、右往左往することになります。

 

当然、過剰在庫が常態化し、適正在庫は維持できず、不確実性に対処するためのバッファ在庫が積み上がるパターンに陥ることになるのです。

 

ですから、製造業が現場で起こる事象に即した在庫管理システムを構築するには、先行きの在庫を見えるような仕組みを検討する必要があるのです。

 

近年、需要の不確実性は急速に高まっており、製造業では「需要に連動した在庫計画を立てたい」とのニーズが高まっています。

 

こうした企業の多くはすでにERPや生産管理システムを導入していますが、実績管理や原価管理しか実践できておらず、在庫計画については各部門がエクセルを基に実務を行っているというのが実状です。

 

需要変動が激しい近年の不確実性に対処するには、現場担当者の経験や勘では限界に来ており、在庫を計画的に管理するためのシステム構築が急がれます。

 

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※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

多くの中小製造業では、倉庫管理や製品を配送する物流工程に課題を残している可能性があります。例えば、多くの倉庫ではいまだ手書きで帳簿をつけたり、エクセルなどで手動で製品の管理を行っています。また、「手配する」「梱…

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