(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、ネットショッピングの普及などにより需要の変動が見通しづらく、在庫管理はこれまで以上に難しくなっていると、株式会社オンザリンクス代表の東聖也氏はいいます。経営者を悩ませる「在庫問題」……解消のカギとなるかもしれない「RSI計画」についてみていきましょう。

計画的な在庫管理を実現する「PSI計画」

こうした課題を解決する方法として、PSI計画があります。PSIは次のような言葉の頭文字を取ったものです。

 

P 生産、調達などの需給要素(Production/Procurement)
S 受注、販売などの需要要素(Sales/Shipment)
I 在庫(Inventory)

 

生産、販売、在庫の情報を統合してこの「PSI計画」を立案することによって、生産、販売、物流の各部門が合意形成を図りながら計画的に在庫を管理します。

 

品目ごとに当日の在庫から未来の入荷予定、出荷予定を加味して在庫の動きを見える化します。在庫がどこでマイナスになるかが一目瞭然で、調達リードタイムを加味していつ手配が必要かも一目で分かります。

 

入荷予定データと出荷予定データの諸元については、管理対象が部品なのか、製品なのかによって異なります。部品や原材料の場合は、入荷予定データは購買システムから、出庫予定データは生産管理システムから取得します。製品の場合は、入庫予定データは生産管理システムから、出荷予定データは受注管理システムから取得します。

 

先行きの在庫が見えるのは非常に効果的なのですが、PSI計画を導入する際には、いくつか注意点があります。

 

実際には各部門や担当者がそれぞれの計画を基に実務を行っています。各部門や担当者は自部門の都合を優先してそれぞれの業務に応じてバッファを保持します。

 

「なぜそのバッファが必要なのか?」という本当の事実については、各担当に聞かなければ分かりません。

 

例えば、販売部門では需要の水増しや数字の精度に課題があり、数字に対する意識の低さが課題です。一方、生産部門では、生産の優先度が曖昧で、独自の予測による生産を行い、その状況も他部門とシェアするという意識が低いという課題があります。

 

購買部門では、調達LTの設定が実状に合っておらず、過去の設定やこれまでの決まり事で事務的に処理してしまう課題があります。また、リアルタイムの必要数を把握しておらず、過去の経験などから日常的に多めに発注したりしています。

 

このような課題を放置したままPSI計画を導入しても、効果は半減してしまいます。各部門がPSI計画にコミットできるためのルールや仕組みづくりが重要です。

 

 

東 聖也

株式会社オンザリンクス

代表取締役

 

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※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

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