(※写真はイメージです/PIXTA)

慢性腎臓病の初期のうちに治療を開始できれば、透析を遅らせる、あるいは回避することが可能になります。しかし、長期にわたって少しずつ症状が悪化していく慢性疾患の場合、なかなか病院へ行かない患者が多いのが現実です。早期発見のため、なにに気をつけるべきか? 南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説します。

透析になるかどうか…正念場の「クレアチニン値」

私の場合、CKD治療の「踏ん張りどころ」はクレアチニン値1.5~3mg/dLだと認識しています。ここで患者さんが食事療法をしっかり実践し、医師も適切な治療をしっかり行えば、原疾患や合併症の状態にもよりますが、透析を回避することは可能です。「透析にならずにすむよう手を尽くしますから、頑張りましょう」とお話しできるのです。

 

そして、たとえ結果的に透析を導入することになっても、その時期を遅らせることができます。

 

今までの自分の経験では、クレアチニン値1.5~3mg/dLであれば、透析まで少なくとも1年の余裕はあるケースがほとんどなので、その間に患者さんと、今後どんなライフプランをもち、どんなライフスタイルを望んでいるのかを話し合い、それをできるだけかなえる方法を一緒に考えることができます。

 

患者さんも、今後の自分の生き方についてじっくり考える余裕がもてます。

 

クレアチニン値が4~5mg/dLくらいまで上がってしまうと、腎機能がすでに正常の10~20%まで落ちていることを意味するので、治療をしても腎代替療法はまず免れない状況になってしまいます。

 

しかも、透析導入までの時間的余裕もそうありません。数ヵ月後には透析スタートをしなければならないケースも。食事制限もかなり厳しくしなければならず、苦痛を伴いますし、貧血などによる自覚症状が出てくる人も多くなってきます。

 

そんなに具合が悪くない、と思っていても、クレアチニン値1.5~3mg/dLは、治療をしっかり受けて透析を遅らせる努力をするとともに、透析になった場合にどういう方法が良いかも考え始める「正念場」といえます。

 

 

鈴木 孝子

南青山内科クリニック 院長 

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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