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現在、スモールM&Aが注目を集めています。その背景には「社長の高齢化と後継者難」「中小企業M&A取引の普及」「廃業数の増加」という3つの要因があります。本記事では、それぞれの状況について専門家がくわしく分析していきます。※本記事は『スモールM&A実務ハンドブック』(五十嵐次郎著、中央経済社)より抜粋・再編集したものです。

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注目を浴びるスモールM&A…背景にあるものとは?

なぜ今、スモールM&Aが注目されているのでしょうか。

 

それらの背景には、①社長の高齢化と後継者難、②中小企業M&A取引の普及、③廃業数の増加、の3つの要因があげられます。

 

以下、その内容を順に見ていきます。

①社長の高齢化と後継者難:団塊世代の社長も大量引退

経済産業省・中小企業庁の各種調査から、社長の高齢化と後継者難について見てみます。

 

中小企業白書(2018年版)によりますと、中小企業の経営者年齢の分布について、1995年の経営者年齢の山(ピーク)が47歳であったのに対し、2015年の経営者年齢のピークは66歳であり、ここ20年間で経営者年齢のピークが、約20年高齢化したことを示しています(図表1参照)。

 

出典)中小企業白書(2018年版)図2-6-2
[図表1]社長の高齢化―経営者年齢層の高齢化 出典)中小企業白書(2018年版)図2-6-2

 

また、中小企業庁「中小企業の事業承継の現状」(2017年2月)における調査では、直近の経営者の平均引退年齢は、30年以上前は中規模企業では61歳でしたが、最近では68歳であり、社長の平均引退年齢が高齢化しています。中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について」(2017年7月)における調査では、今後5年間で、新たに70歳および75歳に達する中小企業経営者は、合わせて37万人以上であることを示しています。これらは、団塊世代の経営者が今後多数引退する時期が到来することを示しています(図表2参照)。

 

出典)中小企業白書(2018年版)第6章 中小企業庁「中小企業の事業承継の現状」(2017年2月)(p.2「経営者年齢の分布及び平均引退年齢」より) 中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について」(2017年7月)(同p.17「2020年頃に団塊経営者の大量引退期が到来」より)
[図表2]社長の高齢化―大量引退期到来 出典)中小企業白書(2018年版)第6章
中小企業庁「中小企業の事業承継の現状」(2017年2月)(p.2「経営者年齢の分布及び平均引退年齢」より)
中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について」(2017年7月)(同p.17「2020年頃に団塊経営者の大量引退期が到来」より)

 

一方、後継者については、同資料において、後継者が決定している事業者はわずか12%となっており、他の多くの事業者が後継者不在(未定ないし時期尚早の状況)、あるいは廃業を検討せざるを得ない状況となっています。

 

 

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スモールM&A実務ハンドブック

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五十嵐 次郎

中央経済社

事業承継やM&Aを必要とする中小企業や小規模事業経営者、それを後押しする税理をはじめとする士業、独立系コンサルタント、地域金融機関の方々に向けたスモールM&Aの入門実務書。

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