「命を育む大変さを、男性にも知ってほしい」と語る山下真理子氏

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第7回目は、不妊治療の末に子ども授かり、妊婦として過ごす中での身体の変化について解説してもらった。

妊娠しても投薬は継続

妊娠してからしばらくは実感がなかった。

 

9週目までは流産リスクも高い、という資料を見ては、「やっぱりダメになってしまうんじゃないか」と、不安で、妊婦検診が待ち遠しかった。

 

最初の胎嚢を確認できた時は、何度も何度もエコー写真を見直したし、初めて心拍が確認できた時は、緊張でドキドキした。

 

自分が子供を育てているということ自体がイメージさえできず、区役所で母子手帳とマタニティマークをもらってもまだ実感しないほどだった。

 

私の場合は、9週目ごろまでは、体外受精を行った不妊治療クリニックで妊婦検診を行った。妊娠が正常に維持されるように、妊娠判定日以降も投薬治療を行うためだ。

 

お腹も当然まだまだ目立たず、投薬も継続していることから、初期は本当に実感がわかなかった。

つわりに治療法はない

いよいよ「お腹の中に命が宿ったんだ」と自覚したのは、「つわり」がきたこと。

 

その年の6月24日に妊娠判定が下りて、しばらくは特に体調の変化もなく、順調な経過だったが、7月10日を過ぎた頃から、「なんとなく吐き気」が現れた。

 

「気のせいかな」と思っていたそれは、日増しにひどくなり。7月3週目には、はっきりと「つわり」症状に苦しめられるようになった。

 

私の場合は、朝起きた時は至って普通。昼ごはんを食べる頃から吐き気が始まり、それから寝るまでの間、ずっと絶え間ない吐き気。食べられるのは、フルーツとプロテインのスムージー、うどん、アイスクリーム。

 

「治す方法はないので、食べられるものを食べてくださいね」と、医師から言われる。

 

そう。つわりには、「治療法はない」。中には、入院する人もいるほど。(飲水もできなくなり高度脱水になってしまうことがあるから)。人によっては、出産まで続くこともある。

 

症状も様々で、空腹を避けて何か食べていたら症状が改善するいわゆる「食べづわり」から、私のように、吐き気が続いて食事がうまく取れないタイプの人もいる。匂いだけでも辛い、という人もいる。つわりが酷くて、仕事を続けることが難しくなって、早々と辞職したり産休に入ったりする女性も少なくない。

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