(※写真はイメージです/PIXTA)

航空機ファイナンス市場における最新動向をはじめ、エアライン与信分析データ、機材鑑定評価、航空機材取引価格データ、オーダーメイドアドバイザリーサービス、航空機投資イベントを提供する世界的企業、Ishkaが提供するオリジナルレポートです。今回は、コロナ禍で落ち込む航空機リース業界に参入し、活発な動きを見せるプライベート・エクイティ・ファンドの狙いと今後の動向について分析します。

恒久資金と一時的資金…「PE企業は欠かせない存在に」

PEが保険や年金基金と比較して、比較的短期間で収益を最大化しようとする傾向があることや、また、多くの新造機リースとローンが歴史的にみて約10年から12年であることから考えても、一見、PEは航空機リースと資金調達の観点から、奇妙な選択に思えるかもしれない。

 

しかし、いくつかのPE企業は、AvolonやElixなどを例にとっても、現在は航空金融およびリース業界内で恒久的なリースプラットフォームを構築する欠かせないものになりつつある。

 

Castlelakeは、航空機の資産管理およびリース事業を構築したPE投資家である。Castlelakeの最高投資責任者兼創設者のEvan Carruthers氏は、新型コロナ危機によって航空産業に引き起こされた苦痛が、航空機リースのようなニッチな資産クラスにPEとオルタナティブ資本を惹きつけ、大規模なリターンが達成可能であると感じていると説明する。

 

危機以前に「ほぼ間違いなく完璧に値付けされた」多くの航空機投資は、再プライシングを余儀なくさせられていると、Carruthers氏は説明する。しかし、一時的な資本のリスクは、大規模なリターンを確保するために市場のタイミングと合わせることが非常に難しい。9.11やコロナなどの予期せぬ出来事、または世界的な金融危機が、必然的に投資家の利益に影響を与えると付け加える。これに対抗するために、市場の長期的な見方は、これらの予期しないイベントの管理に役立つ。

 

「我々の哲学は、業界のリスクを乗り越えることを可能にする大規模なインフラを備えたスペースに根付いた参加者が必要である、ということです。パッシブアプローチで飛び込んだり、飛び出したり…。それが長期的に上手くいくとは、我々は思っていません。墓場には、タイミングを間違えたPEファンドによる航空機リース事業の機材がたくさんあると思います。もしくは、コロナ危機を乗り切るために必要相応なインフラがなかったものもたくさんあると思います」

 

と、Carruthers氏は説明する。

 

いくつかのPEファンドは、リースプラットフォーム自体に積極的に投資したり、プラットフォームをゼロから構築したりしているが、多くは依然として専用の第三者の資産運用会社を介して航空機に直接投資している。1月、クレジットマネージャーのKennedy Lewis Investment Management有限責任会社は、5億ドルの株式投資を提案し、航空機アセットマネージャーのArena Aviation Capitalとともに、新しい15億ドルの航空機リースプラットフォームであるKLAアビエーションファイナンス(KLA)を設立することに合意した。KLAの最初の焦点は、若く新しいリース付きナローボディ機を取得することである。

 

ArenaのCEO、Partick den Elzen氏は、「複数の投資家を持つことの利点は、航空機を調達する機会に柔軟性が生まれることである」と、Ishkaに語っている。

 

「航空機に投資したPEファンドで働いているチームで、昨年大きなチャンスを見た特定のPEファンドがいます。そのPEのシニアマネージメントチームのように、その機会に即答できた企業もあれば、ハードアセット投資を行うことに興味がなかったために、その機会を捉えられなかった人たちもおり、EETC、ABS、不動産、またはまったく異なる資産に投資することに興味を持った人たちもいました。素晴らしいチームを持ち、素晴らしい機会があっても、シニアマネージメント達から権限を得られず、行動に移すことができないため機会を逸するかもしれません。それに対し、我々は、非常に自由であり、行動にうつすための資金を見つけることもできました」

Ishkaの見解…PE支援のリースファンド、恒久化も?

2021年は、より多くの投資家と資金が押し寄せ、航空機リースの収益が圧迫された。Ishkaでは、定期的にセールアンドリースバック市場をリポートしているが、12ヵ月の間にリースレートがどれだけ急速に下落したかトラックしている。また、収益が継続して減少した場合、現在利用可能な資本の一部が航空機リースにどれほど粘り強く固定できるのか、予測することは困難である。

 

ただし一方で、PEが支援するいくつかの新しい航空機リースファンドと資産運用会社は、特に長期のリターンを求める投資家にとって、恒久的な定着した存在になる可能性がある。いくつかのファンドは依然として、短期的な苦境にある機会を探している。

 

より多くのレッサーが航空機の減損を余儀なくされるか、公式および非公式のリストラクチャリングの解決策を模索することを余儀なくされることで、航空機がでてくる可能性がある。しかし、Ishkaと話した投資家たちは、これまで出てきたディストレスな状況が比較的限定的だったことに驚いていたと語った。債務返済の必要性と航空会社からの減収とのバランスをとるため、より多くのリースプラットフォームがストレスにさらされる可能性があると予測する者もいる。一方で、それに確信をもてない者もいる。

 

 

編集主幹
ディッコン・ハリス(Dickon Harris)

 

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    注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

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