(※写真はイメージです/PIXTA)

航空機ファイナンス市場における最新動向をはじめ、エアライン与信分析データ、機材鑑定評価、航空機材取引価格データ、オーダーメイドアドバイザリーサービス、航空機投資イベントを提供する世界的企業、Ishkaが提供するオリジナルレポートです。今回は、航空機の需要増加による単通路型機材のリース料と機材価値の回復状況について、エアキャップ、ALC、エアキャッスルのレッサー3社のCEOらのコメントから、現状と今後を分析します。

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Ishkaは直近の決算発表で、エアキャップ、エアキャッスル、エアリースコーポレーションが提起した市場の主要な懸念事項をレビューする。主要なポイントには、リース料延滞要請、航空機価値とリース料、セカンダリー市場が含まれる。

単通路型機材のリース料と機材価値の回復状況

リース会社の最高経営責任者は、需要増加による単通路型機材のリース料と機材価値の回復状況について、また同様に投資家がリース機材の取得を模索していることによるセカンダリー市場の回復を示唆した。

 

エアキャップのCEOであるAengus Kelly氏、ALCのCEOであるJohn Plueger氏の両者は、エアバスA320neo/A321neoのリース料がパンデミック前のレベルを上回り、ボーイング737Maxのリース料も2019年のレベルに「順調に上昇」していることから、リース料の回復はナローボディ機によって牽引されていると一致。Kelly氏は、ボーイング787の機材価値も改善されているとコメント。しかし、エアキャッスルのCEOであるMichael Inglese氏は、ワイドボディの価値は2023年もしくは2024年まで「落ち込んだ」ままである可能性があると警告した。

 

エアキャップのCFOであるPeter Juhas氏は、時間単位(PBH)のリース料について取り上げ、この手法がいつごろを目途に終わるのかについて次のように述べている。

 

「PBHはリースのスタート時に始まっており、それらの取り決めから外れる航空会社を今後、見ることになると思われる。PBHには期間があり、通常の月間リース料に切り替わっていくだろう。多くは、2022年初頭に起こりはじめるだろう」(Peter Juhas:エアキャップ CFO)

現在の機材価値回復に向けた考察

現在の機材価値回復について、エアキャップのCEOであるAengus Kelly氏、ALCのCEOであるJohn Plueger氏は、それぞれ次のように述べている。

 

「ボーイング737Max8が戻ってきた。これは朗報だ。エアバスA320、現時点では、ボーイング737、そしてボーイング787もわれわれは確実に見ることができる。今年の初めにかけて資産価値が大幅に回復したことを認識しており、それは疑いの余地がない。実際の売買価格からも認識できる」(Aengus Kelly氏:エアキャップ CEO)

 

「ナローボディの需要は、エアバス、ボーイング両社の機材、とくにエアバスA320とA321neoファミリー(A321neoLRとXLR含む)で強いことを強調したい。重要なのは、ボーイング737Maxも市場で順調に回復しており、リース料は9ヵ月から12ヵ月前の安値から着実に上がっているということだ。最近の737-9Maxの勢いは強い。また、A220も加速し、導入される勢いが増している。肝心なのは、これらすべての新しい機材タイプでリース料が上昇しているということだ。新しい双通路型のリース料も需要増により上昇している」(John Plueger氏:ALC CEO)

リース会社「航空会社からのリース料延滞要請は減少」

上述の3社すべてが、今期では前期と比較して、航空会社からのリース料延滞の要求が少ないと報告。コロナ禍において、航空会社からのリース料延滞要請は一般的なこととなっていたが、空の旅の需要回復にあわせ、この2四半期にわたっては減少した。

 

エアキャッスルのCFOであるAaron Dahlke氏、ALCのCFOであるGregory Willis氏も、それぞれ次のように述べている。

 

「リース会社は、支払いの調整と引き換える代償として、長期リースへ修正したり、〈貴重な考慮次項〉を受け入れたりしている」(Aaron Dahlke氏:エアキャッスル CFO)

 

「追加の延滞要請(Payment accommodation)を受け入れるレッサーの意欲は継続して減少しているが、深刻な影響を受けた地域の航空会社では、さらなるリストラによる延滞要請の可能性もあることを懸念している」(Gregory Willis氏:ALC CFO)

 

エアキャッスルのCEOであるMichael Inglese氏は、アジアの航空会社が求める延滞要請の将来的な潜在性について、次のように述べている。

 

「東南アジアでは、各国によっての地域差が非常に大きい。そして、今後さらなるリストラが起こったとしても驚くに値しない。従って、短期的にはさらに多くの延滞要請があるかもしれないが、長期的には活動は回復するだろう。しかし、一部の地域で起こるリストラ、延滞要請活動に対し、われわれの方針によって乗り越えるために継続していくだろう」(Michael Inglese氏:エアキャッスル CEO)

Ishkaの見解

レッサーは、業績発表で新型機材への関心を強調することがよくある。しかし、歴史的に中古機へ主に焦点を当ててきたレッサーであるエアキャッスルが、セカンダリー市場から短期的に若年の航空機を購入する計画を示したことは、非常に興味深い。

 

エアキャップのCEOであるAengus Kelly氏は、「エアキャップの機材を2024年までに75%の新型機材で構成する」と述べ、ALCのエグゼクティブチェアマンであるSteve Hazy氏は、「同社において、もっとも〈人気があり望ましい〉単通路型機に、より〈重点〉を置く」と述べた。

 

早速、今週、ALCが111機の新型機種のエアバス機発注に大筋合意したことは目新しい。ALCとエアバスは、この発注が、新しいESGファンドのイニシアティブの一部であり、「持続可能な航空開発プロジェクトへの投資」に貢献し、ほかのリース会社へも開かれていくであろうと発表している。

 

ALCのエグゼクティブチェアマンであるSteve Hazy氏は、「ジェット燃料のコスト上昇と燃費効率の低い航空機の空港着陸料の増加により、航空会社が機材を迅速にモダンなものに交代する傾向となっているが、少なくとも、ESGがこの傾向を推進する可能性がある」と示唆したほか、エアキャッスルのCEOであるInglese氏は「ESGは、航空会社や業界に、より多くの新型機を可能な限り迅速に導入するよう圧力をかけるような対抗力となるだろう」とコメントを追加している。

 

エアキャッスル、ALC、エアキャップのレッサー3社は、近い将来、航空機を売却する計画を示した。これは、2022年に強固な機材取引が確実に開始される可能性が高いことを示している。セカンダリー市場において、来年、現行機vs新型機がレッサーによりどれだけ取引されるのか興味深い。
 

 

※ データの詳細はAirline Credit Profilesを参照ください。

 

アナリスト
ジョセフ・エル・ヘロウ

 

注:本記事は英語にて発行されており、日本語翻訳はあくまで参照です。この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版記事の補助的なものであるため、英語版が(正)となります旨、ご了承ください。

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