(画像はイメージです/PIXTA)

認知症を患い、施設に入所していた父が亡くなり、相続手続きを進めていると、半年前に再婚していたことが発覚。父亡き後、本人の意思は確かめようがありませんが、状況から見て、遺族である子どもたちは大いに疑念を抱いています。果たして父親の婚姻を無効にすることはできるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

親の再婚で、子どもの相続分は半減する可能性も

高齢化社会といわれるほど、みなさん長生きするようになりました。それ自体はいいことですが、妻または夫に先立たれた場合も、その後の人生は長く、再婚するというケースも増えています。

 

再婚すると、新しい妻や夫は配偶者となりますので、法定相続分は2分の1となります。子どもたちにとっては再婚がなければ遺産の相続割合は全部なのに、再婚されると、2分の1に減ってしまいます。

 

再婚が親の意思で行われたのであれば、子どもたちにとって不都合であっても、それは親の自由ですから仕方がありません。

 

しかし、認知症で判断能力を失っているのにもかかわらず「再婚した」といわれても、子どもは納得できかねるのではないでしょうか。

婚姻無効の基準は、本人の「婚姻する意思の有無」

では、どういう場合に「親の婚姻は無効」といえるのでしょうか。

 

それは、親に婚姻する意思がなかったといえる場合(民法742条)です。

 

ひとつは、婚姻届が偽造されて出された場合など、本人以外が作成して勝手に提出された場合が考えられます。したがって、親が知らない間に婚姻をしていたという場合は、親が自分で婚姻届を書いて出していたのか確認する必要があります。

 

次に、親が自分で婚姻届を書いていたとしても、認知症などで判断能力がなかったといえる場合には、親には婚姻意思がなかったといえるので、やはり婚姻は無効となります。親が認知症で判断能力があったかなかったかは、婚姻届を作成した当時の医師の診断書、病院の看護記録、介護施設の介護記録など客観的な資料によって「判断応力がない」といえる必要があります。

 

これらの資料は、病院や介護施設に相続人が請求して取り寄せることになりますが、亡くなった方のプライバシーに関する情報でもあることから、相続人でも取り寄せができない場合があります。

 

そのような場合は弁護士に依頼して、弁護士会の照会制度を利用して取り寄せてもらう必要があります。

 

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