「要介護3」コンピューターが誤った判定を下したまさかの理由【介護のプロが解説】

「要介護3」コンピューターが誤った判定を下したまさかの理由【介護のプロが解説】
※画像はイメージです/PIXTA

65歳以上の介護保険被保険者は、介護が必要になったら市区町村へ要介護認定の申請をします。その際、必ず必要になるのが「主治医意見書」です。主治医意見書は、原則としてかかりつけ医が作成します。市区町村の介護認定審査会では、主治医意見書をもとに、被保険者に必要な介護が受けられるよう判定します。「要介護度」の判定について、介護事業を運営する、株式会社アテンド・代表取締役の河北美紀氏が解説します。※本記事は、書籍『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)より抜粋・再編集したものです。

コンピューターによる一次判定「要介護3」の珍理由

要介護(支援)申請するときは、「使いたい介護サービスがある」ことが前提です。単に体操する場所を探していたり、介護予防に関するコミュニティに参加したい場合は、総合事業(一般介護予防事業)を利用することができます。65歳以上の方なら誰でも使うことができるので、もし足腰が弱ってきたと感じたら積極的に活用してみることをおすすめします。ただし、通所型サービスによる食事や入浴・訪問型サービスによる家事支援や身体介助が必要になったときは、要介護(支援)申請をしましょう。

 

「家族が手間をかけすぎている」と判定されたケース

 

介護認定審査会では、ときどきこんなケースに遭遇します。ご主人の介護を奥様がしている場合に多いのですが、ご主人が明らかに自分でできることでも奥様がやってあげてしまうケースです。

 

ある男性は、コンピューターによる一次判定では「要介護3」でした。しかし、介護認定審査会のメンバーと主治医意見書や訪問調査員の記述を見ていくと、それほど介護度が高くないことがわかりました。そのご家庭では、奥様が甲斐甲斐しくご主人のシャツのボタンからズボンの上げ下ろしまで行っていることが、コンピューターに「介護の手間がかかっている」と判定されてしまったのです。

 

笑い話のようですが、こういった場合は「より適正な介護度にするために」、一次判定で出た要介護度を二次判定で下げることがあります。ご本人のためにも自分でできることは手を放し、見守ることが必要です。

 

「非該当」でも、介護サービスの利用実績がある場合

 

介護認定審査会では、コンピューターによる一次判定で「非該当」が出た方でも、専門家で構成された二次判定で総合的に検討した結果、要介護(支援)判定となる場合があります。一次判定では、介護にかかる必要な時間が短かったとしても、「対象者が介護サービスを継続利用していたことにより、心身状態が維持されているのではないか」ということが議論されます。

 

もちろん、ご年齢や、何らかの疾病を持っているなどを総合的に判定するため、すべての方が同じ結果になるとはかぎりません。しかし、介護保険には「介護予防」という考え方があるため、介護サービスを中断することにより心身状態が維持できなくなると判断されれば、要介護(支援)認定がおりる可能性があります。

 

 

河北 美紀

株式会社アテンド 代表取締役

 

 

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