(※画像はイメージです/PIXTA)

診察待ちをしている間というのは、医師からどのような所見をされるのか心配するのが患者心理です。なかには、怖い医師じゃないといいな、という心配をしている患者さんだっていることでしょう。緊張感から血圧があがることもありますから、医師としては患者にリラックスした状態で診察を受けてもらいたいもの。そのために、患者へのヒアリングの仕方など、さまざまな工夫が必要なのかもしれません。

患者とのファーストコンタクトには十分な配慮が必要

早朝から診察室の前では、順番を待っている患者が長蛇の列。昼休み返上で働くことも当たり前のような医師という仕事は、そのステータス以上に重労働なものです。訪れる患者も、それぞれ病状も違えば性格も違いますし、毎日の対応を想像しただけで、その苦労ぶりが想像されます。

 

同じように、患者もまた、診察を待っている間は心中穏やかではありません。この緊張感のなかで診察をしたら、患者の症状を聞き漏らしてしまったり、間違った所見をしてしまったりすることだってありえます。ただ、この状況を打破できるのは、医師以外にはいないのです。

 

患者というのは、医師のイメージ像を自分の想像のままにイメージします。見た目や表情、あるいは声やしぐさなど、一瞬の情報を瞬時にかき集めてカタチにし、自分なりに医師を、「こんな人」と決めつけるのです。だから最初にネガティブな情報を与えてしまうと、実像はどうあれ「イヤなヤツ」にされてしまい、良好な関係を築きにくくなってしまうこともあり得ます。しかもそのイメージを覆すことは、そう簡単なことではありません。

 

このような緊張時におけるファーストコンタクトは、いつも以上に鮮明で、心に深く刻まれるものです。何事も最初が肝心ではありませんが、患者に抱かれるイメージをよくすることが、自身のためにも大切なポイントになります。

欲しいのは、一瞬のほほえみ

診察室で待ち受ける医師は、たいてい、デスクのパソコンに向かい、作業をしていることがほとんどです。

 

おそらくカルテの確認や記入などをしているのでしょうが、入室時に患者と向き合っていることはほとんどないのではないでしょうか。

 

「今日はどうしました?」とやさしく声もかけてくれる医師もいますが、患者が抱くイメージをよくして、安心感を与えるためには、ここでもうひと工夫すべきかもしれません。たとえば、患者が診察室に入ってきた時、ほんの少しでも仕事の手を休め、患者のほうをしっかり見つめ、ニコッと微笑みながらあいさつを交わしてみると、それだけで印象は変わります。なにより患者の不安は一気にやわらぎますから、安心感を与えることができるはずです。

 

患者の多くはきっと、医師がとても忙しいこと、寸暇を惜しんで一生懸命働いていることを理解しています。だから、自分のほうをチラとも見てくれない医師を、「しかたない」と諦めます。あまり話を聞いてもらえない時は、「自分の伝え方がまずかった」と反省します。ただ、そうした我慢の感情は、些細なきっかけであふれやすいもの。積み重なれば、それは強い不信感へと変化していくことにもなりかねません。

 

患者は医師に、診察時には自分と向き合って大切にしてもらいたいと思っています。だからこそ、ささやかなやり取りかもしれませんが、そういう医師の行動というのは意外と心に響くものなのです。

医師は聞き、患者に語らせよう

今やネットにはさまざまな情報がまん延し、信ぴょう性の高いものからでたらめなものまで氾濫しています。体調を崩した患者が最初にすることは、たいていこのネットの情報に頼ることです。いわゆる自己診断になるのですが、的確な情報を得た方もいれば、とんだ見当違いの情報を握りしめている方もいます。

 

なかには自分が重病なのではないか、とまくし立てる患者もいるという話も聞いたことがあります。医師からすれば、決めつけは診断の邪魔になるだけでなく、場合によっては判断を間違える要因にもなりかねません。このような患者が訪れてきた場合、不機嫌な対応をしてしまいたくなるのはとても理解できます。

 

対人関係というのは難しく、相手がそうならこっちはこうだ、という感情のなすがままに進めてしまうと、そこに残されるのは対立関係のみ。患者が間違えているのだから、そちらが態度を変えるべきだ、というのは正論でもあるのですが、こうしたケースでは歩み寄りが大切なポイントになりそうです。

 

まず、患者というのは不安のかたまりです。心配するあまり、いろいろな情報をかき集めて、少しでも早く安心したい、と考えているのです。つまり、患者の決めつけや情報過多が間違っていても、医師がこの部分に一歩寄り添うことができれば、良好な関係を築く第一歩となれるのではないでしょうか。

 

それゆえ、医師に求められることのひとつは、聞き上手になって患者の不安を吐き出させてあげる、ということ。「もしかしたら〇〇じゃないか?」「自分は××かもしれない!」などとひととおり思いや考えを吐き出させてあげれば、患者はラクになれたり、元気になれたりもするはずです。

 

ただ、医師としては時間が足りないと、ジレンマを抱えて悩んでいるのかもしれません。すべてにわたって患者のケアをすることは、限られた診察時間のなかでは不可能でしょう。それゆえ第一印象の改善と聞き上手になることで良い関係を築くことで、その後の治療の効率化が図れたらいいですよね。そうした工夫をすることで医師の真心が患者に届いたとき、患者は安心感を得て治療を受けられるのかもしれません。
 

 

 

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