グリーンの次にブルーボンド (※画像はイメージです/PIXTA)

グリーンボンドは地球温暖化対策など幅広いプロジェクトへ取り組むための資金調達として発行される債券です。一方、ブルーボンドは海洋保護や持続可能な漁業、廃棄物処理など、水が関係するプロジェクトに資金使途を限った債券というのが基本的なイメージです。グリーンボンドもブルーボンドも環境・社会・ガバナンス(ESG)債のサブカテゴリーの位置づけです。

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ブルーボンド:アジア開発銀行が海洋環境などの改善にブルーボンドを発行

アジア開発銀行(ADB)は2021年9月10日、アジア・太平洋地域の海洋関連プロジェクトへの融資を目的とした、オーストラリア(豪)ドルおよびニュージーランド(NZ)ドル建てのデュアル・トランシェ・ブルーボンドを発行しました(図表1参照)。ADBとして初のブルーボンド発行となりました。

 

出所:ADB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ADB発行のブルーボンドの主な内容 出所:ADB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

ADBが発行したブルーボンドはオーストラリア(豪)ドル建とニュージーランド(NZ)ドル建の2本建てで構成され、それぞれ別の保険会社が購入しました。

ブルーボンドの発行例はグリーンボンドに比べ小さいが、関心は高まりつつある

グリーンボンドは地球温暖化対策など幅広いプロジェクトへ取り組むための資金調達として発行される債券です。一方、ブルーボンドは海洋保護や持続可能な漁業、廃棄物処理など、水が関係するプロジェクトに資金使途を限った債券というのが基本的なイメージです。グリーンボンドもブルーボンドも環境・社会・ガバナンス(ESG)債のサブカテゴリーの位置づけです。

 

アジア開発銀行(ADB)としては、今回のブルーボンドが初めての案件となりますが、ブルーボンドは3年ほど前に発行されています(図表2参照)。

 

※ブルーボンド発行の一部を選択、ブルーボンドの全リストではない 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]世界のブルーボンドの発行例 ※ブルーボンド発行の一部を選択、ブルーボンドの全リストではない
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

最初のブルーボンド発行と言われるのはセーシェル政府で、ブルーボンド国債を発行しました。世界銀行などが発行を支援しています。

 

セーシェル政府によると、ブルーボンドで調達した資金は海洋保護や漁業マネジメントなどに使用するとしています。アフリカの島嶼国(当初国)であるセーシェルは海に囲まれており、海洋資源の保護や、持続的な海洋ビジネスは重要なプロジェクトです。このように、ブルーボンドは海洋の汚染から養殖など持続的な海洋ビジネスを対象としています。海岸線の長さ等から東アジアやインド太平洋地域にもメリットが大きいとの指摘もあります。

 

グリーンボンド同様に、ブルーボンド発行の枠組みがあります。今回のADBでは(拡大された)グリーン&ブルーボンド・フレームワークの下で当該債券が発行されています。このフレームワークには発行原則、対象プロジェクト、評価プロセスとグリーンもしくはブルーボンドの資金調達、資金の配分、モニタリングとレポートに該当する基準、コンプライアンス、外部評価とセカンドオピニオンの7項目が定められています。グリーンもブルーも大枠は似ていますが、対象プロジェクトが海洋関係などとするのがブルーボンドというイメージです。

 

ADBは19年に「海洋保全と持続可能なブルー経済のための行動計画」(行動計画)を策定し、24年までに50億ドルの投資を目指しています。今回のADBのブルーボンドは行動計画の一環と位置づけられています。

 

なお、ADBの行動計画は、国際連合が15年に採択した17の目標(及び169のターゲット)で構成される持続可能な開発目標(SDGs)の14番目の「海の豊かさを守る」項目の達成を支持するものです。今後の動向が注目されます。

 

ブルーボンドの今後を占う上で課題を見ると、グリーンボンド同様に、ブルーボンドが対象とするプロジェクトなどの定義についてはこれからの展開を見守る必要がありそうです。また、海洋プロジェクト固有の問題も指摘されています。例えば、プラスチックごみの問題を考えてみても、それが別の国から流れてくる場合もあり他国の協力が求められます。河川であっても日本の場合は概ね国内問題ですが、複数の国にまたがる場合、解決はやはり協力が必要です。もっとも、これらの問題は昔から存在していた国家間の問題であって、ブルーボンド自体の問題ではないでしょう。

 

ブルーボンドがきっかけで、解決が困難であった問題が一歩でも解消に向かうことを期待します。

 

 

※記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『グリーンの次にブルーボンド』を参照)。

 

(2021年9月16日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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