欧州株は9月ECB理事会を無難に通過 正念場は12月に持ち越し (※画像はイメージです/PIXTA)

9月9日に開催されたECB理事会では、大方の予想通りPEPPの購入ペース引き下げが決定された。しかし、2022年3月までとされるPEPPの期限やその後のAPP購入枠等に関する政策については今回の理事会では発表が無かったことから、正念場はPEPPの包括的な議論が行われるとされる12月理事会に持ち越されることとなった。

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9月ECB理事会ではPEPP購入ペースの引き下げが決定

9月9日に開催されたECB(欧州中央銀行)理事会では、2021年10-12月期のPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の購入ペースの引き下げが決定された。具体的な金額は明示されなかったものの、これまでの「年初よりもかなり速いペース」から「過去2四半期よりも適度に低いペース」へ購入ペースが縮小されることになる。

 

ECBはコロナ危機後に総額1兆8500億ユーロのPEPP購入枠を導入し、少なくとも2022年3月まで継続するとしている。購入枠は上限であり目標ではないが、必要に応じて購入枠を再調整(拡大)させる柔軟性も持たせている。また、PEPPとは別に、コロナ危機前から行われているAPP(資産購入プログラム)については、純購入額が現行の月額200億ユーロのペースで変更はない(図表1)。

 

月次、単位:億ユーロ、期間:2016年8月~2021年8月
[図表1]ECB資産購入額の推移 月次、単位:億ユーロ、期間:2016年8月~2021年8月
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

今回の9月ECB理事会の記者会見でラガルドECB総裁は、PEPP購入ペースの減速を「テーパリング(量的緩和の縮小)」ではなく「微調整」と表現した。PEPP購入ペースの引き下げが「テーパリング」に該当するかの是非は別として、ECB理事会後にドイツ10年国債利回りは低下、STOXX600指数(欧州株)は下落幅が縮小したことを考慮すれば、今回の9月ECB理事会の決定は一部の市場関係者が想定していたよりもやや「ハト派的」な金融政策だったと推察される(図表2、3)。

 

日次、単位:%、期間:2021年8月10日~9月10日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ドイツ10年国債利回りのローソク足 日次、単位:%、期間:2021年8月10日~9月10日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

日次、配当無し、ユーロ建て、単位:ポイント 期間:2021年8月10日~9月10日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]STOXX600指数(欧州株)のローソク足 日次、配当無し、ユーロ建て、単位:ポイント
期間:2021年8月10日~9月10日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

12月ECB理事会での政策決定に注目

ECBはPEPPの購入ペースについて3月、6月、9月、12月の3ヵ月ごとに見直しを行っている。今回はPEPPの購入ペースの引き下げが決定されたが、12月16日のECB理事会では包括的な議論が行われる予定だ。

 

12月16日のECB理事会では、①PEPPを予定通り2022年3月で打ち切るのか、②純購入額を月額200億ユーロとする現行のAPPを2022年4月以降に増額するのかが焦点となる。市場関係者のコンセンサスは、ECBがPEPP購入ペースを2022年3月にかけて徐々に減速させ、総額1兆8500億ユーロの購入枠を超えない水準で予定通り2022年3月で打ち切り、その後はAPPを現行の月額200億ユーロから幾分増額させるかたちで、量的緩和全体の縮小ペースをマイルドにさせると予想している。

 

欧州株式市場では、今回のPEPP購入ペースの引き下げが大方の予想通りとなり、尚且つ重要な金融政策決定が12月のECB理事会に持ち越されたことから、ひとまず9月のECB理事会を無難に通過する結果となった。しかし、これはあくまで重要な意思決定が9月から12月に先送りされただけであり、欧州株式市場の先行き不透明感が払拭されたわけではないことには留意すべきだろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『欧州株は9月ECB理事会を無難に通過 正念場は12月に持ち越し』を参照)。

 

(2021年9月13日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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