※画像はイメージです/PIXTA

わが子を難関私立中学に進学させたい親は、合格のためにどの程度の知識が求められるか、自身で体感してみることも有益です。ここでは科目を理科に絞り、中学受験に必要な学習内容とその難易度を、有名塾の講師が作成した参考書をもとに紹介します。今回は生物の「毛細血管、心臓」などです。※本記事は、『中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する理科の授業 生物・物理編』(実務教育出版)から抜粋・再編集したものです。

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血液は「毛細血管」を通って体の隅々まで行き届く

11月25日の記事で解説した血管は、どれもかなり太い血管についてでした。

 

しかし、体の隅々まで血を行き届かせるためには、細い血管が必要です。その細い血管を毛細(もうさい)血管と言います。

 

[図表1]

 

このことは、水道管をイメージするとわかりやすいかな。水道管には、地面の下を通るすごい太い水道管もあれば、そこから分岐して各家庭へと向かう少し細い水道管もありますよね。

 

そして、家庭のなかではさらに細い水道管となって、それぞれがお風呂やキッチンへ向かっていますよね。

 

同じように、細胞(さいぼう)まで血液を送るために、血管もどんどん細くなっていくのです。そして、お風呂やキッチンで使われた水は、それぞれ細い下水管を通り、少し太い管(くだ)にまとまったあとは、地面の下にあるとても太い下水管につながっています。血液の流れもまさにそんなイメージです。

 

だからよく、「酸素の多い血をきれいな血」、「酸素の少ない血を汚い血」なんて言ったりするんですね。

肺動脈には静脈血が、肺静脈には動脈血が流れている

実際、そのきれいな血には動脈血(どうみゃくけつ)、汚い血には静脈血(じょうみゃくけつ)という立派な名前がついています。つまり、動脈血は酸素の多い血、静脈血は二酸化炭素の多い血ということです。

 

誰が決めたのか知りませんが、受験上これは本当に迷惑な名前です。なにが迷惑なのか、わかった人はいるかな?

 

図表2を見て確認してみてください。基本的に動脈には動脈血が、静脈には静脈血が流れていますね。

 

[図表2]

 

でも、肺循環(はいじゅんかん)の部分だけは、肺動脈(はいどうみゃく)に二酸化炭素の多い静脈血が、肺静脈(はいじょうみゃく)には酸素の多い動脈血が流れているでしょう?

 

血管の名前の決め方と、血液の名前の決め方の基準が違(ちが)ったために、こんな謎(なぞ)なことになったのです。

 

血管の名前は「心臓に近づくか遠ざかるか」を基準に決まっています。一方、血液の名前は「酸素が多いか少ないか」を基準に決めました。

 

その結果、肺循環では静脈に動脈血が流れるというわかりにくいことになってしまったんですね。動脈血や静脈血なんて難しい名前をつけずに、多酸素血、少酸素血などにしてくれたらよかったのに…。

 

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