日本の「シリコンロード」「シリコンアイランド」とは
●技術力があっても価格競争で負けてしまう日本
パソコンやデジタルカメラに使われる集積回路(しゅうせきかいろ)ですが、近年では世界中でつくられるようになりました。
かつては日本が世界一でしたが、近年は他国の企業のほうが、売上高が大きくなっています。残念な話ですね。日本の工業の未来は厳しい気がしてきます。
では、なぜ日本の売上高が落ちてしまったのか。
それは、いくら技術力があっても価格競争で負けてしまうことが多いからです。
中国や東南アジアのほうが、人件費や土地の値段が安いことから、製品を安くつくることができるのです。パソコンにしても、現在は多くが中国製になってきています。
●東北のシリコンロードと九州のシリコンアイランド
ちなみに、東北自動車道沿いに集積回路をつくる工場が多くあることから、東北自動車道沿いをシリコンロードと呼ぶことがあります。
同じく熊本県などの九州地方の空港周辺に多くの工場があることから、九州をシリコンアイランドと言うこともあります。覚えておきましょう。
きれいな水や空気があると、集積回路をつくる場所に向いていますし、近くに高速道路や空港があると、輸送にも便利です。また、東京都などの大都市よりも人件費が安いということも、地方で集積回路が多くつくられる要因になったのでしょう。
ただ、いくら安いと言っても韓国や中国よりは高くなってしまうので、日本はなかなか価格競争に勝てないのです。
●外国に生産拠点を移す「産業の空洞化」が進んできた
日本でも、外国に生産拠点を移す企業が多くあります。これは機械(きかい)工業だけではなく、他の工業でも同じです。
人件費や土地の値段が安い国でつくったほうが利益を出しやすいと考えて、中国やタイ、ベトナムなどに工場をつくるのです。
これによって、日本国内の産業が衰(おとろ)える、「産業の空洞(くうどう)化」が進んできました。
●プラスチックから石けんまでつくる化学工業
では、次に化学工業について説明していきますよ。
化学工業
石油や塩などを原料とし、それを化学的に変化させて製品をつくる工業のこと。合成ゴム、化学肥料、プラスチック、石けん、薬品、化粧品など。石油化学工業が中心。
石油化学工業は、原油から得られるナフサを原料にして、プラスチックなどのさまざまな製品をつくっています。石油化学コンビナートでは、工場を集めてパイプなどでつなぎ、効率よく生産できるようにしています。下記の図表2は石油化学コンビナートがある場所です。
鉄鋼業も同じですが、関東から九州にかけての臨海部で工業が伸びていますよね。その地域のことを太平洋ベルトと言います。
新幹線や高速道路といった交通網も発達しているため、人口が集中しています。労働力も得やすいですし、消費者も多く住んでいますよね。だから、工業が発達している地域が集中しているのです。
その中でも、「化学工業と言えば千葉県」というくらい、千葉県は化学工業がさかんです。
●化学工業の場所を語呂合わせで覚える
化学工業の場所は覚えにくいので、語呂(ごろ)合わせをつくってみました。
どうでしょうか?
自分オリジナルの語呂合わせをつくるのもいいですね。
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