※画像はイメージです/PIXTA

高市早苗議員が自民党総裁選挙に立候補しています。高市議員といえば、NHK改革に熱心な方だと理解していますので、これを機に本稿では筆者なりのNHK改革について論じてみたいと思います。高市議員の姿勢を支持するわけでも、批判するわけでもないので、その点はあしからずご了承ください。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「税金運営による政府の介入」は杞憂

税金で運営するとNHKの経営に政府が介入して政府に都合のいい番組ばかり作るようになる、といった批判があり得ると思いますが、それは的外れだと筆者は考えています。

 

理由の第一は、政府が介入しようと思えばいまでも介入できるので、「税金で運営するか否か」と「介入するか否か」のあいだには特に関係はないからです。

 

筆者は政府が介入しているか否か知りませんが、もしも現時点で介入していないならば税金で運営するようになっても介入しないでしょう。もしも現時点で介入しているのであれば、税金で運営しても介入するでしょうが、事態がいまより悪化するわけではなさそうです。

 

理由の第二は、国立大学は税金で運営されているのに国立大学の教授は必ずしも政府に都合のいいことばかり言っているわけではない、ということです。仮に国立大学の教授たちがNHKの放送内容を決めるようになったとしたら、政府に都合のいい放送ばかりになると思いますか? 筆者は思いませんが(笑)。

一部の番組は切り離し、民営化&スリム化を

もっとも、現在NHKが放送しているすべての番組を税金で放送する必要はないでしょう。娯楽番組などは切り離して民営化すればいいと思います。

 

境目のあいまいな部分は、しっかり議論して決めればいいでしょう。たとえば、文化財の紹介は娯楽番組ともいえますが、日本の文化を広く国民に伝えるのは公共放送の役目だともいえるでしょう。国立博物館があるわけですから、それと同じ仕事は税金で行う、という考え方ですね。

 

問題は、分社化すると娯楽部門の大リストラが必要となりかねない、ということです。「そもそもNHKは見ていない」「政見放送等は見るが、娯楽番組は見ていない」という人も多いでしょう。なかには「受信料が強制徴収されているからNHKの娯楽番組を見ているけれど、払わなくていいなら1円でも払いたくない」という人も多いでしょう。

 

そうした人たちが料金を払わないなら、少ない人数でNHKの娯楽部門のコストを賄わなければなりませんから、1人あたりの料金が高くなってしまいます。それがさらに契約者数を減らし、1人あたりの料金を高くする…という悪循環が生じる可能性もあるわけです。

 

そうした可能性を考えると、当初は巨額の補助金を税金から支払って、ある程度の事業規模を維持しておき、徐々に時間をかけて娯楽会社の業務と人員を縮小していく、ということが必要なのかもしれませんね。

 

今回は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、わかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

塚崎 公義

経済評論家

 

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