「白紙委任状」による議決はトラブルの原因
■総会の委任状
総会は、収支予算、事業計画をはじめとする管理組合の基本方針、重要事項を決する管理組合の原則的意志決定機関とされています。管理組合の基本方針は総会で決議されますので、十分に審議しつくして合意され決議することが望まれますので総会ではできるだけ多くの組合員が出席して、活発な意見交換等を踏まえて各組合員が意志決定を行うのが本来の姿です。
一方、区分所有法(第39条第2項)や標準管理規約(第46条第4項)では書面又は代理人によって議決権を行使することを認めています。総会にやむを得ない事情で出席できない組合員はその方法によって議決権を行使することができます。書面による議決権行使の留意点については、標準管理規約46条関係コメントを参考に作成してください。
■総会の白紙の委任状
多くのマンションでは、総会の案内に同封されている出席票の委任状の欄に、「総会に出席という記載があり欠席の場合には、議長に委任したものとみなします。」、「委任状に記載がない場合には、議長に委任したとみなします。」という記載があります。
いわゆる『白紙委任状』です。
この白紙委任状は法的には問題ないといわれていますが、総会で議場出席している組合員のほとんどが反対しているにも拘わらず、いざ採決に入ると委任状でまるでオセロゲームのように可決されてしまうことでトラブルになるケースが多いのも事実です。
これによって、管理組合の最高の意志決定機関である『総会』が形骸化して議場出席者が減ってしまうことが懸念されます。
総会にやむを得ない事情で出席できない組合員はその方法によって議決権を行使することができます。書面による議決権行使の留意点については、標準管理規約46条関係コメントを参考に作成してください。
【管理規約46条関係コメント】
⑤ 書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。
このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。
組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。
⑥ 代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。