持病で「育児に参加できない」悩む30代男性を救った在宅透析【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

病院での透析治療は、週3回かつ1日4時間程度、じっとしたままで受けなければなりません。自由な時間を失ったり、働けなくなったりする患者さんが多いなか、家にいながらにしてできる「在宅透析」も存在することをご存じでしょうか? 30代患者・Aさんの事例をもとに、南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説します。

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「妻に楽をさせてあげたい…」自分を責めていたAさん

透析患者の30代男性Aさんは、先天性の腎疾患のために20代から週3回、施設血液透析を受けていました。結婚しており、奥さんと共稼ぎで、2歳になろうとするお子さんがいます。育児休暇が明けたばかりで、保育園への送り迎えも含め、育児全般を奥さんが働きながら担わなければなりません。

 

Aさんは夕方6時に会社を出て、近くのクリニックへ向かいます。それから3時間の透析を受けて、帰宅は夜10時前。そうすると奥さんは仕事と子どもの世話でくたびれ果て、食事もせずリビングでうたた寝していることも多いそう。そんな姿を見るたびに、「自分が透析をしていなければ、育児も分担して、妻に楽をさせてあげられるのに」と自分を責めてしまっていたそうです。

 

しかし、そんなAさんが在宅血液透析のことを知り、最初は自分にできるのだろうか、と不安だったものの、もっと時間的に余裕のある生活をして、奥さんの負担を軽くしてあげたいと一念発起し、トレーニングを経て在宅血液透析に移行しました。

 

今、Aさんは家族との夕食の時間とその前後を透析に使っているそうです。仕事と家庭の両立がしやすくなり、奥さんとの会話も増え、言葉が分かるようになってきた子どもも交え、家族団らんの時間がとても楽しいと笑みをこぼします。

 

会社も理解を示し、在宅血液透析になっても基本的に夕方6時きっかりでの退社を認めてくれていますが、どうしてもその日のうちにしなければならない仕事があるときには、体調に差し障りがない程度の、多少の残業もできるようになりました。

 

体調も良くなってきて、フットワークが軽くなり、仕事も以前よりバリバリとこなせるようになってきたとのこと。気持ちも前向きになり、「まだまだ自分は頑張れる」と、いろいろなことに対して自信をもてるようになったそうです。

 

施設血液透析では、透析に時間を取られ人とのコミュニケーションの機会が少なくなってしまいがちですが、このように在宅血液透析では、特に家族がいる人にとっては、透析中も家族がそばにいる状況をつくることができるので、精神的にもとても支えとなり、ストレスが減って、身体の調子も良くなることが期待できます。

南青山内科クリニック 院長 医師

1992年3月、長崎大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部附属病院、小平記念東京日立病院、社会保険中央総合病院で勤務。
2000年3月に東京大学大学院医学部医学系研究科内科学専攻博士課程修了。
高島平中央総合病院腎臓内科部長、森山リハビリテーション病院腎臓内科部長を経て、
2007年4月より駒込共立クリニック院長。
2011年6月に南青山内科クリニックを開業。

著者紹介

連載「生涯現役」をかなえる在宅透析

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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