(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人に最も人気の資産形成手段と言えば「預金」ですが、超低金利の今、日本円で預金してもお金はほとんど増えません。金利面だけで考えれば、手持ち通貨を預金金利が高い国々の通貨に換えて預けるほうがお得です。とはいえ外貨預金ならではのリスクも…。外貨預金を検討するなら押さえておくべき知識を見ていきましょう。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「元本割れ」を回避するための注意点

Q2.「外貨預金での運用で、留意しなければならないのは、為替相場の変動と為替手数料による元本割れリスクです。具体的に、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?」

 

⇒A. 外貨購入時の相場より外貨安・円高になれば、為替差損が発生します。また、為替相場の変動がなくても、預入時と引出時の為替手数料がかかるため、受取外貨の円貨換算額が作成時の払込み円貨額を下回ることになります。

 

<解説1>外貨預金のリスク

外貨預金が国内円預金と本質的に異なる点は、為替相場の変動リスクを伴う点です。外貨に交換した時よりも円高の水準で円に戻せば、為替差損が発生します。一定期間、外貨預金に預け入れ、再び円に戻すということは、銀行から外貨を買って、一定期間後に、その外貨を再び銀行に売ることを意味します。この外貨購入時の相場より、売却時の相場が外貨高(円安)ならば為替差益が発生しますが、逆に外貨安(円高)であれば為替差損が発生するわけです。

 

また、外貨預金預入(作成)時の適用相場は電信売相場(TTS)、引出(支払)時の相場は電信買相場(TTB)のため、為替相場の変動が全くなくても、1通貨単位当り「TTS-TTB」の為替差損が発生します。

 

たとえば、米ドルであれば、1米ドル当たり1円を含んだ為替相場のTTS(預入時)、TTB(支払時)が適用されます。つまり、円を外貨に交換する、外貨を円に交換する際には、必ず為替手数料が掛かるので、為替相場に変動がなくても、往復(預入時と引出時)の為替手数料、米ドルでいえば1米ドル当たり2円掛かります(図表2)。このように外貨預金には、受取外貨の円貨換算額が当初外貨預金作成時の払込み円貨額を下回る(円ベースで元本割れとなる)リスクがあります。

 

(公示仲値TTM=100円)
[図表2]1万米ドル(100万円)預け入れる場合 (公示仲値TTM=100円)

 

<解説2>預金金利等

外貨預金の金利は、各金融機関が自由に決定できますが、市場動向を無視して勝手に決めているわけではありません。当該預入通貨の金融市場、たとえば東京ドルコール市場やユーロ市場などにおける取引金利、すなわち市場金利を基準に決められています。

 

しかし、2008年9月のリーマンショックを契機に世界各国の金利は大幅に低下し、欧州中央銀行(ECB)や日銀(BOJ)はマイナス金利政策を取っています。

 

なお、外貨普通預金に預入期間の定めはありませんが、外貨定期預金には、原則、毎営業日金利を公示している1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年物があります。ほかにも満期日をある特定日に設定する、定期預金も作成可能です。

 

原則として、期日前解約はできませんが、金融機関がやむを得ないと認めて応じる場合は、預入日から期日前解約日までの適用利率が期日前解約日における当該通貨建ての外貨普通預金利率となります。

 

上記の通り、外貨預金には、為替相場の変動リスク及び元本割れリスクがあるので、預金保険の適用対象から除外されています。また、少額貯蓄非課税制度(いわゆる、マル優)の対象にもなりません。

 

 

大村 博

FXソリューションズ代表、外国為替コンサルタント

 

 

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