2022年度の臨時定員や地域枠は県内定着に寄与
暫定的に「2019年度程度の医学部定員を超えない範囲」で募集された2020年・21年度の入試が終わり、気になるのは今後の定員の行方だ。臨時定員増や地域枠は、医学部の入学定員を大きく左右してきただけに関心が集まる。
来るべき「22年度の臨時定員は、大学医学部・受験生へ配慮する観点から、暫定的に2020年・21年度と同様の方法で設定」され、「2023年度以降の臨時定員については、2021年春までを目途に検討を行う予定」と、発表されている。
臨時定員増の核となった地域枠は、本格設置から10年以上経過し入学者が医師になって地域に定着率する高さがすでに実証されている。文部科学省の調査結果では、地域枠の入学者が大学のある県内に残る平均が9割程度であるのに対して、一般枠入学者は50%強にとどまり、その差がはっきり表れているのだ。
さらにもう一点、今後の医学部定員を考える上で見逃せないのが、医師総数の見通しだ。今後医師数は過剰になると推計され、将来的には医学部の定員を減員させる方向性が打ち出されている。その際に地域枠入学者の地域定着率が高いという調査結果を踏まえ、これまでは“臨時定員”の枠内で設置してきた地域枠を、「22年度からは地域の実情に合わせて恒久定員内に継続的に設定する」方向性も公になっている。つまり入学定員が減っても、地域枠での募集は維持していくということだ。
医学部入試を長年注視してきた宮辺氏はこういった発表に対し、「医学部の入学定員が減員に向かうとはいえ、新型コロナウイルス感染下でとりわけ医療現場では人が足りないという声が聞かれる。少なくとも2、3年は、現状が維持されるのではないか」と推し量る。
今年は、「大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力、判断力、表現力等」を問う共通テスト元年だった。こういったねらいで作られる新テストの難易度はアップするとみられていたが、蓋を開けてみると、前年度まで実施されていた大学入試センター試験に比べ平均点は上昇。理系では13点上がって572点に、文系も4点アップし552点となった【表2】。