「臨時定員増」終了、続く暫定措置を経て22年度入試へ
「止まない雨はない」とはいえ、未だに終わりの見えないコロナ禍。2022年度こそは穏やかさを取り戻し、受験生が十分に力を発揮できることを望まずにはいられない。ここでは、半年後に控えた2022年度の医学部入試について考察していく。
近年の医学部入試に大きな影響を与えてきたのが、2008年度に本格的に始まった地方の医師不足・偏在是正のための「臨時定員増」だった。受験生に医学部の間口を大きく広げた臨時定員増は期間限定の施策で2019年度をもって終了している。続く2020年、21年度は、「暫定的に2019年度程度の医学部定員を超えない範囲で、各都道府県や大学等とその必要性を踏まえ調整を行う」という方針に沿って、受験が実施された。
これまでの臨時定員増の核となった、3つの施策をここで確認しておく。
①医師不足が深刻な10県に10名ずつの暫定的な増員を認めた「新医師確保総合対策」(2008年~2017年度)を皮切りに、②「緊急医師確保対策」(2009年~2017年度)では、医師が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するため都府県ごとに5名まで(北海道は15名まで)の暫定的な増員が認められる。2008年には、「早急に医学部定員を過去最大程度まで増員する」という閣議決定がなされ、③「経済財政改革の基本方針2009」(2010年~2019年度)で、都道府県ごとに地域枠で原則10名までの暫定的な増員が許容された。
その結果2010年度の入学定員は、前年より360人多い8,846人まで増員され、それ以降も医学部入学定員は増え続けた(表1)。「臨時定員増」の核になったのが、地域医療に従事する医師を養成することを主たる目的とした学生を選抜する「地域枠」(地元出身者を選抜する枠や大学とその関連病院に勤務することを目的とした枠も含む。奨学金貸与の有無を問わない)である。
地域枠を新設する大学は拡大し、2008年は医学部定員(国公立・私立合算)の5.2%だった地域枠の入学定員は、2020年には、9330人のうちの1679人と18.2%にまで拡大している。