共通テスト、2年目は初年度より難しくなると覚悟を
初年度は出題者側も受験生の反応が十分に読み切れなかったのかもしれない。そのことは、公民と理科②で得点調整が実施されたことでも窺える【表3】。
公民の選択科目の中で、最も平均点が高かった倫理の平均点は71.96点、一方最も低かった政治経済は49.87点でその差は22.09点。理科②は生物の平均点が72.65点で化学が51.06点となったので差は21.59点となる。48万人もの受験生が受けるテストだけに作成には検討に検討が重ねられたに違いない。だからこそ、一教科の中で平均点が20点以上開いてしまったことが、新しいテストへの移行の難しさを物語る。
こういった点から「来年、再来年は難易度が上がり、平均点が下がる可能性が高い」と宮辺氏は考える。
これまで国公立大の受験者に向けて共通一次試験、大学入試センター試験が実施されてきたが、両テストはともに開始初年度から3年目まで回数を重ねることに平均点が下がっていった。十万人単位の受験生が受ける入学者選抜試験でねらい通りの結果を出すための調整期間として2、3年は必要になるのがこれまでの試験で理解できる。
「こういった状況を踏まえて受験生が心得ておかねばならないことは何か」という疑問に対しては、「共通テストが難しくなるという前提で勉強すること」(宮辺氏)と戻ってきた。医学部を目指すなら、共通テストで最低でも8割は欲しいところ。「この程度か」と思って過去問を解いていると、本番で「思ったより難しい」と感じた時に動揺しかねない。だとしたら「難しくなるぞ」と思って日々、机に向かう。そうすれば、リスクが回避できるという訳だ。
最後にこうアドバイスする。
「学校生活と受験勉強を両立させて日々過ごす医学部志願者に向けてのアドバイス」を求めると「学校や予備校で学んだことをしっかり固める。わからないことは先延ばしにせずに先生に聞いて理解しておくこと。医学部入試は苦手科目があると命取りになりかねない。苦手科目を作らないことが肝要なのです」
「夏は受験の天王山」。この夏を制して、一人でも多くの医学部志願者が夢を叶えることを祈りたい。
大熊 文子
フリーライター