不正入試報道後、男子と女子の合格率の差縮まる
近年、医学部に進学する女子生徒が増えているのは、数字上からも明らかだ。より多くの女子生徒の夢を叶える大きなきっかけとなったのが、2018年の東京医科大学の不正入試報道といえる。
東京医科大学で2006年から女性と多浪男子に対する不利な得点操作が行われてきたことが発覚。それをきっかけに、他の9大学の不正入試も明るみになり、該当大学はその後、実際に合格点に及びながら、不合格の判定がなされた受験生に対して追加合格の対応を進めてきた。
そういった是正を経て、女性の合格率が上昇している大学が増えているのを伝えるのが、「国公私立大学医学部医学部の入学者選抜における男女別合格率について」(https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_daigakuc02-100001375_1.pdf)になる。これは、各大学のHPに公表されている数値を文部科学省が取りまとめ、男女別の受験者数を合格者数で割ったもの。女性の合格率のアップは、不正発覚前の「平成25~30年(2013~2018年)度平均」と公表後の「令和2年(2020年)度」を比較するとはっきりと数字に表れている。
不正入試が発覚した東京医科大学の「平成25~30年度平均」の男女それぞれの合格率(男性6.79%、女性5.27%)の差が1.52%であったに対して、「令和2年度」(男性12.59%、女性11.59%)になると1.00%と伯仲してきているのは、見逃せない。
2020年度入試で、女子の合格率が男子を上回ったのは、国公立大学では弘前大学、東京医科歯科大学、富山大学、信州大学、滋賀医科大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、愛媛大学、佐賀大学、琉球大学、私立大学では、埼玉医科大学、杏林大学、昭和大学、帝京大学、東邦大学、日本医科大学、聖マリアンナ医科大学、金沢医科大学、大阪医科大学、兵庫医科大学、川崎医科大学の23校。
東京医科大学を含む私立30校(東京女子医科大学を除く)において、「平成25~30年度平均」では女性合格率が男性合格率を上回るのが6大学のみであったのに対して、「令和2年度」は約2倍の11校にまで拡大している。ちなみに国公立大学は、「平成25~30年度平均」で女性合格率が男性合格率を勝るのが11校で、「令和2年度」が12校と大きな差はみられない。