茶筒の開化堂が証明!「応援経済が社会の文化的豊かさを育む」 (※写真はイメージです/PIXTA)

経済成長の坂を登った先にある、成熟した高原社会では消費や購買の位置づけも大きく変わるという。「労働と生産」が「購買と消費」と一体をなすシステムに変化していくというが…。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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バリューチェーンからバリューサイクルへ

モノを作るプロセスの中に受益者側が入り込んで、そこでいろんな反応をすることで、またアウトプットの方向に影響を与えることになるというシステムを、バリューチェーンとの対比で表現すれば、それはバリューサイクルとなります。顧客である消費者が受け取る効用が、そのまま生産者にとっての次の生産の資源となる無限のサイクルです。

 

これを図式化したのが下図の右側にあるチャートです。バリューチェーンが「購買・消費」の先に何もないデッドエンドであるのに対して、こちらは「購買・消費」がまた新たな「労働・生産」にエネルギーを与えるオープンエンドのシステムとなっていることがわかるでしょう。これをバリューチェーンに変わるものとしてバリューサイクルと名付けたいと思います。

 

バリューサイクルでは、もはや消費者は、これまでのそれとは異なり、単に「消費する人」ではあり得ません。彼らはいわば「労働者・生産者」に対して、労働・生産のための経済的・精神的エネルギーを提供する「資源=リソース」となるのです。

 

このような「生産者」と「消費者」の関係を、すでに19世紀において構想していたのが、先ほども取り上げたカール・マルクスでした。マルクスは、初期の草稿ノートに次のように記しています。

 

<私の生産物を君が享受あるいは使用することのうちに、私は直接につぎのような喜びを持つであろう。すなわち、私の労働によって、ある人間的な欲求を満足させるとともに人間的な本質を対象化したと。>

 

マルクス・エンゲルス『Marx Engels Gesamtausgabe(MEGA)』より

 

このような社会においては「消費」あるいは「購買」は、私たちが現在考えるようなネガティブなものではなく、言うなれば「贈与」や「応援」に近いものになるでしょう。その関係はちょうど、アーティストとパトロンの関係に喩えられるものに近くなります。つまり、社会になんらかの価値を生み出そうとして活動する人々がいる一方で、片方に、その人々の活動を支援するために、彼らの生み出した価値に対してできるだけ「大きな」対価を、半ば贈与という感覚も伴いながら提供しようとする関係性です。

 

ライプニッツ 代表 独立研究者
著作家
パブリックスピーカー

1970年東京都生まれ。神奈川県葉山町に在住。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了。

電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。

その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。

(的野 弘路=撮影)

著者紹介

連載日本人はコロナ後の世界をどう生きるべきか

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

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