2021年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+3.6%、7四半期ぶりの増加に

 

4~6月期GDP第2次速報値で設備投資、在庫変動は第1次速報値から上方修正か

 

 

21年4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+3.6%と、1~3月期の前年同期比▲9.9%から13.5ポイントと大幅に伸び率が改善した。7四半期ぶりの増加になった。1~3月期で前年同期比▲6.6%の減少だった製造業は、4~6月期では同+4.4%の増加へと11.0ポイント改善した。非製造業は1~3月期で前年同期比▲11.5%の減少だったが、4~6月期で同+3.2%の増加と14.7ポイント伸び率が改善した。

 

4~6月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+3.2%と2四半期連続増加した。製造業は+4.1%と2四半期連続増加した。非製造業は+2.6%と3四半期ぶりに増加になった。

 

なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は4~6月期で+3.2%と2四半期連続の増加になった。製造業は+3.9%と2四半期連続の増加に、非製造業が+2.8%と4四半期連続の増加になった。

 

法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で4~6月期の全産業の前年同期比は+5.3%で1~3月期の▲7.8%と比べ13.1ポイント伸び率が改善した。資本金別の内訳をみると、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+0.4%と、1~3月期の▲13.4%から13.8ポイント改善した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は▲4.9%と、1~3月期の+0.1%から5.0ポイント悪化した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+23.7%と、1~3月期の前年同期比+3.8%からは19.9ポイント改善した。

 

供給サイドのデータに基づいて算出した4~6月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比減少率は+4.0%と7四半期ぶりの増加になった。1~3月期の▲5.2%の減少から9.2ポイント改善した。法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は1~3月期から4~6月期にかけ13.5ポイント改善した。両者の改善幅の乖離は4.3ポイントだ。

 

4~6月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、4~6月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲13.8%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲31.5%であると公表されているが、4~6月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は▲29.8%となり、仮置き値より1.7ポイント小幅の減少率になった。

 

なお、4~6月期GDP第2次速報値の設備投資では、法人企業統計が上方修正要因になるが、断層補正が改善幅抑制要因となるとみられる。また、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動態統計6月分確報値からみてやや下方修正要因になるとみた。総合的に判断し、第2次速報値の実質設備投資前期比+2.5%程度と、第1次速報値の同+1.7%から上方修正されるとみた。

 

(民間在庫変動)

 

法人企業統計の仕掛品在庫をみると21年4~6月期は3,941億円で20年4~6月期の2,156億円から1,785億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は21年4~6月期は+1兆1,153億円で20年4~6月期の2,136億円から+9,016億円の増加となった。合わせて+1兆801億円、前年同期に比べ増加した。

 

一方、21年4~6月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆5,928億円で20年4~6月期の1兆8,617億円からは▲2,689億円の減少であった。21年4~6月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は原材料在庫、次のマイナス寄与は流通在庫、そして仕掛品在庫がプラス寄与で、一番大きなプラス寄与は製品在庫ということだ。

 

今回の法人企業統計からみると、原材料在庫はプラス寄与に転じる可能性があろう。GDP第2次速報値で、今回の法人企業統計はGDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.2%から▲0.1%程度になりそうだ。

 

(21年4~6月期GDP・第2次速報値予測)

 

9月8日に発表される21年4~6月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

21年4~6月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+2.5%程度と、第1次速報値の同+1.7%から上方修正になると予測した。また、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の▲0.2%から▲0.1%程度になるとみた。

 

また、公共工事出来高の前年比は4~5月分平均が+1.3%だったが、4~6月期の前年同期比も+1.3%と同じ伸び率になった。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲1.5%程度の減少と第1次速報値と同程度の減少率になると予測する。

 

21年4~6月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.6%程度、前期比年率+2.3%程度を予測する。第1次速報値の前期比+0.3%程度、前期比年率+1.3%から上方修正となろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2021年9月1日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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