新型コロナウイルスの第4波は、ベトナムの不動産市場にも影を落としています。郊外の戸建てやマンションが注目される一方、新規感染者の約8割を占める南部地域と感染者の少ない北部地域では市場の動きに差が現れてきました。また、全体的な不動産価格の上昇にも、一筋縄ではいかない複雑な事情が潜んでいます。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が解説します。
あえて勧めるなら、ハノイ市の新規マンションだが…
筆者の私見では、現在売出し中もしくは売出し予定のマンション(コンドミニアム)は、法的規制や、感染流行の影響による新規供給数が不足で価格下落が抑えられているだけで、決して消費が活発だからではありません。逆に需要は限られており、一部の資産家のみの市場となっています。
その証拠に、これから売り出される新規物件は、3万米ドル/m2を越えるラグジュアリークラス(超高級)、1万米ドル/m2を越えるハイクラス(高級)の供給が予定されています。さすがに、一般庶民ではとうてい購入できないレベルです。逆に、多くの庶民が求めているのは1000米ドル/m2以下の手頃な価格帯ですが、都市部ではほぼありません。
現状での外国人向けの不動産市場としては、正直、率先してお勧めできる新規物件はありませんが、新規マンション(コンドミニアム)であればハノイを勧めます。ホーチミン市とくらべたら、価格的にはまだ収益を得られる可能性があるからです。しかし、見極めは非常に重要となります。
その他、マンション市場以外は致命的です。とくに土地、戸建て市場は下落が続いており、不良債権が増えています。とはいえ、この不良債権処理を見据えて物件を購入する資産家も多く存在するのも事実です。
徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director
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VINA COMPASS Co., Ltd.
General Director
沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。
VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/
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