TODDは、遺産税まで免除してくれるものではない
アメリカに資産を保有する人が亡くなった際、その遺産分配のために「プロベート」という手続が必要になります。しかし、不動産についてはプロベートを回避する手段として、「TODD」を活用する方法があるということを、前回の記事でご紹介しました(『アメリカ不動産オーナー必見!相続時の所有権譲渡を容易にする「TODD」とは?』参照)。
このTODDですが、相談を受けたときにいちばん多く寄せられる質問が、
「これでアメリカの遺産税(相続税)も支払う必要はありませんね?」
というものです。
残念ながら、その答えはNoです。TODDは煩雑なプロベートを経る必要なく、あらかじめ指定した受取人に所有権の移転を可能にする制度です。しかし、その相続にかかる遺産税まで免除してくれるものではありません。
TODDと遺産税は無関係、とぜひ覚えてください。以前執筆した記事、『アメリカ在住の親族が死亡…現地の相続手続き「プロベート」における現地弁護士の報酬目安』でも述べたように、アメリカで遺産税を支払う義務が発生するかどうかは、日米租税条約の定めに従った控除額を計算して、慎重に判断するようにしましょう。
TODDは、アメリカ全州で使えない点にも注意
次に、TODDはアメリカ全州で使えるわけではありません。TODDが使える州と使えない州を以下まとめましたのでご参考ください。ちなみに、カリフォルニアでは、一時期TODDを廃止する議論が州政府で行われていましたが、最近、2032年までTODDが制度として存続することが決まりました。
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