アメリカ在住の親族が死亡…現地の相続手続き「プロベート」における現地弁護士の報酬目安 ※画像はイメージです/PIXTA

アメリカ在住の方が亡くなった際、相続人は現地の裁判所に、遺産を分配するための「プロベート」という手続きを申立てる必要があります。プロベートには弁護士の起用が基本となるほか、手続きのたびに高額な費用が発生するため、十分な注意が必要です。国際法務に精通する中村法律事務所の中村優紀代表弁護士が解説します。

アメリカでの遺産分割には「裁判所手続き」が必要

アメリカに資産を有したまま亡くなったとき、相続人はまず「プロベート(Probate)」の申立を裁判所に行うことになります。その場合、申立代理人となる現地弁護士を起用するのが通常です。

 

プロベートとは、アメリカに所在する不動産、銀行口座、証券口座、動産その他の遺産を分配するための裁判申立て手続きのことです。日本では相続人間の話し合いだけで遺産分割ができますが、アメリカではそれとは異なり、裁判所手続きを経て遺産を分割することに特徴があります。

 

プロベートを申し立てる主体は相続人です。ただ、裁判手続きになるため、現地で弁護士を起用し、代理人として申し立てをしてもらうのが通常です。

 

注意が必要なのがこの弁護士報酬で、かなりの高額です。たとえば、フロリダ州でプロベートを申し立てるとして、現地フロリダ州の弁護士に申立代理を依頼する場合を想定します。このとき、申立代理人に支払う費用は、フロリダ州法によって以下の算定式によって定めることが合理的として推奨されています。

 

 

この算定式ですが、遺産額のレンジごとに弁護士報酬が加算されていく仕組みになっています。たとえば、遺産額合計が500万ドルの場合、以下の計算により弁護士報酬が算定されます。

 

◆最初の遺産額10万ドル分について3,000ドル

◆次の90万ドル分について$2万7,000ドル(3.0%)

◆次の200万ドルについて5万ドル(2.5%)

◆残りの200万ドルについて4万ドル(2.0%)

 

合計で申立弁護士報酬は12万ドルとなります。

弁護士に「PR」を務めてもらう場合は、その報酬も発生

弁護士に支払う報酬は、上記で解説したものだけではありません。弁護士に遺産を管理する人格代表者(Personal Representative、略してPR)を務めてもらう場合は、PRに支払う報酬も別途発生します。なお、人格代表者は弁護士以外の者が選任される場合もありますが、その場合でもPR報酬は発生しますのでご留意ください。

 

フロリダ州法では、PRに支払う報酬として以下の報酬額が合理的なものとして推奨されています。

 

 

 

例えば、遺産額合計が500万ドルの場合、以下の計算によりPR報酬が算定されます。

 

◆最初の4万ドル分について1,500ドル

◆次の3万ドル分について750ドル

◆次の3万ドルについて750ドル

◆次の90万ドルについて2万7,000ドル(3.0%)

◆次の200万ドルについて5万ドル(2.5%)

◆残りの200万ドルについて4万ドル(2.0%)

 

合計でPR報酬は12万ドルとなります。

 

つまり、遺産額合計500万ドルの場合、弁護士報酬及びPR報酬の合計で24万ドルがかかることになります。

 

遺産額500万ドルに対して約5%が申立を依頼する弁護士そしてPRの報酬として支出されることになります。このパーセンテージを、皆さんは高いと思うでしょうか? 海外のことはわからないのでやむを得ないと思うでしょうか。

 

いずれにしろ、上記算定式のように、遺産額が大きければそれだけ費用が膨らんでくる、ということを認識しておく必要があります。

 

ちなみに、フロリダ州以外のカリフォルニア州でも、同様に、州法によってPR報酬が定められています。

 

カリフォルニア州では、遺産額が500万ドルの場合、PR報酬は6万5,000ドルになります。このことから、フロリダ州は、カリフォルニア州に比べてPR報酬が高く設定されていることがわかります。

 

筆者の経験でも、フロリダ州の不動産の売買取引では、州に支払う手数料や税金等が、他州に比べて高額な印象を受けています。アメリカ不動産を購入される際には、売買価格だけではなく、それに関連して発生する費用にも目を配ることが必要です。

 

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中村法律事務所 代表弁護士
ニューヨーク州弁護士 

弁護士登録後、国際コンプライアンス案件を専門とする矢吹法律事務所に入所。8年以上に渡り、国際カルテル案件等に従事。

ニューヨーク州の弁護士資格を取得し、米国大手法律事務所Gibson, Dunn & Crutcher LLPのサンフランシスコオフィスに執務する。

2018年、中村法律事務所の開設後は、日系企業向けにアメリカ進出時の法的サポートを行うほか、製造業の海外販路拡大、飲食業の海外イベント出店、国際取引契約、クロスボーダーM&A、海外現地法人設立といった取引案件を担当。また、海外不動産トラブル交渉、海外の債務者への債権回収、アメリカ大使館での証人尋問といった紛争案件の代理も務める。最近は、英語対応できる日本法弁護士として、海外上場会社の日本法人向けにも多くのアドバイスを行っている。

個人向けには、海外資産を有したまま亡くなった時の国際相続を専門的に取り扱い、海外不動産を購入した日本人向けに海外口座解約を含む様々な手続きを受任。これまでアメリカの相続制度やその対応策に関するセミナー講師、執筆を多数行っている。

中村法律事務所(https://nakalaw.jp/

著者紹介

連載敏腕国際弁護士が解説!「アメリカ不動産オーナー」が知っておきたい法律基礎知識

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