国が予算1兆円を投じて成立させた「事業再構築補助金」。ただ、実際には申請から入金までに一定の期間が必要なことから、補助金を申請した中小企業の資金繰り改善には時間を要するのが現実です。そこで、今回は「補助金の交付決定」を担保に資金調達が可能な「補助金対応POファイナンス」について、当サービスのプラットフォームを提供するTranzax株式会社代表である大塚博之氏が解説します。

補助金対応POファイナンスサービスとはなにか

POファイナンスとは

 

受発注(=Purchase Order)に基づく資金調達を行うという、主にアメリカで発展してきた商流に基づくファイナンス手法のこと。仕事を受注して売上が入金されるまでにかかる外注費・人件費・材料費などの運転資金を円滑に調達することができる。

 

前回は商流についてのPOファイナンスについて解説しましたが(関連記事:新時代の資金調達手段…仕事の受発注を基にする「POファイナンス」)、POファイナンスが対応しているのは受発注だけではありません。国や自治体が交付する補助金や助成金の交付決定通知にも対応できます。これが補助金対応POファイナンスです。

 

補助金対応POファイナンスは、既にいくつかの補助金支払者(事務局)と交渉済みなので、提携金融機関との融資交渉のみでご利用いただけます。

 

利用可能な補助金としては、まず、ものづくり補助金に対応しております。他にも、経済産業省、環境省、観光庁、東京都、岡山市、京都市等の様々な補助金や助成金に対応しております。

 

また2021年の8月には、経済産業省の事業再構築補助金にも対応しました。基本的なサービスの仕組みはどの補助金でも同じですが、ここでは事業再構築補助金を例にとり説明します。

 

[図表1]補助金対応POファイナンスの概要図
[図表1]補助金対応POファイナンスの概要図

 

※1 電子記録債権とは、2008年12月に施行された電子記録債権法(※2)という法律に基づき、新しい金銭債権の一種として創設されました。その目的は、大企業に比べて厳しい中小企業の金融を改善すること、すなわち資金繰り対策にあります。

 

※2 電子記録債権法:この法律が検討されるようになったのは、2003年、政府のIT戦略本部によるe-Japan戦略Ⅱにおいて、「手形の有する裏書や割引機能等を電子的に代替した決済サービス」の普及を図ることが挙げられたのがきっかけです。2004年のe-Japan戦略Ⅱ加速パッケージでは、「電子的手段による債権譲渡を推進するための制度の見直しについて、現行法上、原則として確定日付のある通知、承諾が必要とされている債権譲渡の対抗要件のあり方を含めて検討」することとされました。これらを受けて、経済産業省、法務省、金融庁において電子債権制度(当時の仮称)の検討が進められ、法律の要綱案がとりまとめられました。議論の過程で、当初は「電子債権」法制と仮称されていましたが、電子商取引から発生する債権全般を指すものと誤解されかねないといった理由から、「電子登録債権」法制と仮称が途中で変更され、さらに最終的な法案では「電子記録債権」に変更されました。これは、「登録」という用語を使うと国の機関が行う国の事務という印象を与え、また税(登録免許税)の問題も起きかねないという理由からです。取引当事者双方の合意により電子的な記録を行うことが債権の発生、譲渡等の効力を生じる要件であることを端的に示すものとして、最終的に「電子記録債権」という用語を使うことになりました。

 

では、実際に補助金対応POファイナンスを使った融資にはどのような特徴があるのでしょうか。

 

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