つなぎ融資が事業者をサポート…補助金利用に「POファイナンスⓇ」という選択肢

長引くコロナ禍で大打撃を被ったライブ・エンタメ業界に対して、国は「J-LOD補助金」を通じて支援を行ってきました。そのようななか、補助金の特性ともいえる「申請から受取までに時間を要する」という課題に対して、補助金を担保につなぎ融資が受けられる「POファイナンスⓇ」に注目が集まっています。J-LOD補助金を担当する経済産業省コンテンツ産業課の高木美香課長、羽鳥博之係長と、補助金を担保につなぎ融資を提供するTranzax株式会社代表取締役社長、大塚博之氏が、補助金活用における課題と対応策について話します。

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当初…補助金交付が公演の数ヵ月後というケースも

大塚 J-LOD補助金(J-LODlive1、J-LODlive2、および現在申請受付中のJ-LOD(3))は、ライブ・エンタメ業界にとって大きな支えになっていることは間違いありません。ただ、利用する側としては、申請が通ったとしても「いつ受け取れるのか」という点が非常に気になるのではないでしょうか。

 

高木 たしかにそうです。J-LOD(3)補助金のうち、開催支援分についてはそもそも交付決定日以降のイベントの開催経費が対象です。そして、公演実施後に経費の証憑(しょうひょう)を揃え、実績報告をしていただき、事務局で確定検査を行ったのち、お支払いすることになります。最初の「J-LODlive1」では、経費の証憑類がなかなか揃わず、お支払いが滞ってしまい問題となりました。

 

経済産業省 コンテンツ産業課長 高木 美香氏
経済産業省 コンテンツ産業課長 高木 美香氏

 

多くの業界では通常、経費については「外注先から見積りをとって発注」し、「納品後に請求書をもらって支払う」というように2回のやり取りがあるはずなのですが、ライブ・エンタメ業界では「一括いくら」といった領収書だったり、アーティストのギャラの根拠が曖昧だったりと、特殊な業界慣行があります。

 

私たちもあとでそのことに気づき、業界の方と何度もやりとりしながら「こういう証憑を揃えてください」というマニュアルを整備し、現在ではかなり改善しました。

 

大塚 経費の証憑類が揃っていれば実績報告からどのくらいの期間で補助金を受け取ることができるのでしょうか。

 

羽鳥 事務局側で預かる期間だけでいうと、案件によって差はありますが、おおむね1ヵ月強でしょうか。そこから「〇〇が足りません」といったやり取りに何日かかるかによって、支払いまでの期間が変わってきます。

 

高木 支払いまでに期間を要する点については、私たちもずっと問題意識を持ってきました。この業界は、プロジェクト単位でお金が回っています。主催者がリスクを負って会場とアーティストをブッキングし、会場費や舞台製作費など一部の経費を前払いし、さらに当日の設営や警備などの支払いも発生します。

 

一方、チケット収入は自社で販売しているケースを除けば、チケット会社経由になるため複数回に分かれ、しかも遅れて入ってきます。基本的に「経費が先に出て行くビジネス」なのです。

 

以前はそれでも、観客が入れば経費は賄えていました。しかし、コロナ禍でその資金繰りがうまくいかなくなったわけです。J-LOD補助金にしても、公金という性質上どうしても確定検査をしてからの精算払いにならざるを得ません。そこで先述のように証憑書類の確認がなかなかできないと、事業者の想定よりも支払いに時間を要してしまいます。

 

私たちとしてもいろいろ改善を試みました。ひとつは先述のとおり、「確定検査」がスムーズにいくよう、マニュアルを整備するなどの体制づくりです。

 

そしてもうひとつが“概算払い”です。会場費など金額の根拠が明確なものについてまずお支払いすることにしたのですが、所詮概算払いなので、あとですべての証憑を確認しなくてはならず、あまり効率的ではありませんでした。受け取り側としても「概算払された金額をどのように経理処理していいかわからない」といったこともありました。

 

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経済産業省 コンテンツ産業課長

東京大学経済学部、スタンフォード大学MBA/MA in Education卒

2002年に経済産業省入省。2008年から2012年にかけて、「クール・ジャパン」の海外発信や、コンテンツ・デザイン・ファッションに代表される「クリエイティブ産業」育成施策の立ち上げおよび推進に携わる。その後は、新興国向けの通商政策や国際標準化政策等の「国際ルール形成」施策を担当し、2018年から現職。創造性を活かした新しい未来づくりがライフワーク。

著者紹介

経済産業省 コンテンツ産業課 係長

著者紹介

Tranzax株式会社 代表取締役社長

大阪府立大学工学部経営工学科卒業後、野村證券㈱入社。投資銀行部門に長く従事し、金融機関や事業会社のファイナンス、M&A、IPOなどを数多く手掛ける。野村アセットマネジメント㈱および野村證券㈱の執行役員を経て、2018年9月Tranzax㈱入社。2018年12月より代表取締役社長。DXの時代のなか、電子記録債権を活用した新たなファイナンス機会を提供し、日本の中小企業支援において顧客企業から最も頼られる存在を目指す。

著者紹介

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