過去ではなく、現在を評価してくれる融資
伝統的な融資手法は、必ず財務諸表分析をベースに審査を行っています。財務諸表は、いわば過去の評価にすぎません。極端な話、いい時は傘を差し、悪い時は引く、とよく言われますが、いったん業績が悪くなると、融資が受けられなくなる可能性もあります。
また、日本では不動産担保や保証に偏りすぎではないかという批判も多く、もう少し現在の評価といえる事業性評価に基づく融資手法を増やした方がいいのではないかと、金融庁も民間金融機関に対し積極的に働きかけています。
そこで、Tranzax株式会社は現在の評価である「商流」を活用した融資手法サービスを開発・提供しています。
手形割引や請求書のファクタリングや融資などは、従前からもありましたが、Tranzaxでは請求書や注文書、補助金交付決定通知書を電子記録債権化することで、受発注および交付決定の段階で事業者がお金を借りやすくする仕組みを提供しています。
商流で発生する債権は、本来ならば発注者側の信用力を生かした資金調達が可能となります。
借り入れる側の財務体質は、特に納品・検収、または委託業務完了後の売掛金のような金額が確定した債権(=確定債権)であれば全く関係ないはずですが、実情は異なります。
まず、受取手形は、不渡りが出た場合に、債権者に返済義務が生じる(=遡及)ため、受注者側の信用力が割引コストに乗っています。
また、売掛金も、確定債権ですので、本来ならば100%売掛先の与信リスクで済み、低リスクでのファイナンスを受けられるはず。
しかし、債権そのものについて、金融機関は契約の不存在、つまり架空取引の可能性や二重譲渡のリスク、多重請求のリスクなどを心配します。
また、お金の流れについて、支払い期日通りに売掛先から自分の口座に入ったお金をそのまま他の支払などに使いまわしてしまい、返済原資を棄損してしまう「使いまわしリスク」もあるため、これらのリスクが反映された与信判断になります。
さらに注文書の場合は、納品検収前の時点では債権が確定していませんので、受注者側のリスクが融資レートに反映されてしまいます。
一方で、良いとされる点は、売掛債権を活用した資金調達は、借りる側にとっても貸す側にとっても、返済原資がある意味確保されているということです。
また、返済の見合いがある借入は「借金」と見做さなくてもいいという考え方もあり、特にこのコロナ禍では、たとえゼロ融資でも借りるのが怖いという方は、少なからずいます。
そういった事業者のためにも、商流ファイナンスは、検討に値すると思います。