(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、ヘッジファンドの運用残高が過去最高を更新している背景について見ていきます。

サテライト部分にヘッジファンド戦略を取り入れる意義

短期成績を重視した運用を行わざるを得ないファンドマネージャーが、通常のファンダメンタルズアプローチができずに成績を悪化させてしまうリスクを回避するためには、ポートフォリオのコア部分ではファンダメンタルズ分析を重視しながら、いかに非合理的な動き、もしくは従来のファンダメンタルズアプローチでは捉えられない動きから生じるベンチマークおよび同業他社とのパフォーマンス乖離を軽減するポートフォリオ戦略を実施することが重要となる。

 

つまり、非合理的な動きなどを効率よくパフォーマンスの一部として取り込んでいくか、もしくは非合理的な動きによってもたらされた株価変動がフェアバリューに戻るタイミングを十分にとらえて、適切に行動していく戦略を取り入れることが重要ということだ。それを実践しているのが年金などの機関投資家で、最近の傾向として、ヘッジファンドおよびその戦略をサテライト部分でポートフォリオに取り入れていると考えられる。

 

ヘッジファンド戦略のなかには、「ファンダメンタルズアプローチ」を突き詰め、α(=投資成果)を高めようとする戦略もあれば、「ファンダメンタルズアプローチ」とは対極的な「行動ファイナンスアプローチ」や「テクニカルアプローチ」を主に活用する戦略もある。また、「ファンダメンタルズアプローチ」と「行動ファイナンスアプローチ」や「テクニカルアプローチ」をミックスして投資戦略を構築するファンドもある。

 

その他にもヘッジファンドには多様な戦略アプローチがあり、足元のマーケット環境を総合的に勘案すれば、コア部分のファンダメンタルズアプローチに対し、相関が小さい(もしくは逆相関の)戦略アプローチのヘッジファンドをサテライト部分で組み込み、ポートフォリオのリスク管理を図ることが重要な局面に入ってきていると考えている。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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