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資産家の相続税対策で設立するケースのある資産管理会社は、資産を個人の所有から切り離すことや税務上のメリットを受けることを目的にしています。そのため会社の設立費用や運営の手間は少なくしたいものです。合同会社はこれらのコストを抑えられる会社の種類で、資産管理会社として設立する場合に適しています。今回は相続税対策で合同会社を設立するときに知っておきたい注意点を解説します。

そもそも「合同会社」とは?

合同会社とは、平成18年施行の会社法により新たに認められるようになった会社の種類です。LLC(Limited Liability Company)と呼ばれることもあります。

 

資産管理会社を設立するときは、会社の種類として「合同会社」と「株式会社」のいずれかから選択します。会社の種類にはこのほか「合名会社」と「合資会社」がありますが、倒産時の責任の範囲に限度がない無限責任であるため、設立されることはまれです。

 

■合同会社と株式会社の違い

ここでは、合同会社の特徴を株式会社と対比しながら紹介します。合同会社と株式会社には以下のような違いがあります。

 

※株式会社の議決権や配当については、権利の内容が異なる種類株式(優先株式など)を発行する場合は例外があります。
[図表]合同会社と株式会社の違い ※株式会社の議決権や配当については、権利の内容が異なる種類株式(優先株式など)を発行する場合は例外があります。

 

[所有と経営の関係]

合同会社は、株式会社と同様に有限責任であり、倒産時の責任が出資の範囲内にとどまります。一方、株式会社とは異なり、所有(出資)と経営が一致するという特徴があります。

 

株式会社では、出資者である「株主」が必ずしも会社の経営に関与するわけではなく、所有と経営は分離しています。たとえば、上場会社の株式を買って株主になったとしても、その会社の経営者になるわけではありません。ただし、規模の小さな会社では経営者が自ら株主となることが多く、その場合は所有と経営が一致します。

 

一方、合同会社では、原則として出資者は「社員」として経営に直接関与します。ここでいう社員とは、一般的にいう従業員のことではなく、株式会社でいう取締役、つまり経営者のことをさします。

 

[議決権・利益の配当]

合同会社は、議決権や利益の配当についても株式会社と異なる点があります。株式会社では、議決権や利益の配当は株式の保有割合に比例します。所有する株数が多いほど議決権は多く、配当も多くもらうことができます。

 

一方、合同会社では、社員1人につき1つの議決権を持つことが原則です。ただし、定款で異なる定めをすることもできます。利益の配当も原則では出資の割合に基づきますが、定款で異なる定めをすることもできます。

 

[設立・運営のコスト]

合同会社は、株式会社に比べて安い費用で設立でき、設立後の運営コストを抑えることもできます。

 

会社の設立登記に必要な登録免許税は、株式会社、合同会社ともに資本金の1,000分の7ですが、最低金額に違いがあります。株式会社は最低15万円であるのに対し、合同会社は最低6万円で済みます。株式会社の設立には公証人による定款の認証が必要で、5万円の手数料がかかりますが、合同会社の設立に定款の認証は不要です。

 

また、株式会社の取締役には任期があり、選任のつど登記が必要ですが、合同会社の社員に任期はありません。株式会社に義務づけられている決算の公告も、合同会社には義務づけられていません。

 

[その他]

合同会社は設立が認められて十数年と歴史が浅く、会社数も少ないため、知名度が低いことは否めません。また、社会的な信用という点では、株式会社のほうが優れているのが現状です。

ただし、個人の資産管理を目的とするのであれば、知名度や社会的信用については過度に意識しなくてもよいでしょう。

 

[税制上のメリットは同じ]

合同会社と株式会社にはさまざまな違いがありますが、以下のような税制上のメリットに大きな違いはありません。

 

・相続税の財産評価で有利になる

・所得を分散させることができる

・広い範囲で経費が認められる

 

相続税対策として資産管理会社を設立するのであれば、合同会社でも十分でしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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