親が健在…相続についていつ話すのがよいか?
遺産相続をめぐるトラブルは、遺産が多い富裕層に限ったものではありません。遺産が自宅だけといったような場合でも、その自宅をめぐって遺族どうしでもめることがあります。
遺産を円満に相続するためには、親が元気なうちに家族で話し合って対策をしておくとよいでしょう。生前に話し合っておけば、どのように財産を継がせたいのか親の意向も聞くことができます。
親の方から相続の話を切り出してくれれば助かりますが、そのようなケースはあまりありません。親にとってみれば自身が死んだ後のことであり、家や事業を継がせたいといった強いこだわりがなければ、相続について無関心になりがちです。自身が死ぬことを意識するため、できれば先送りしたいという気持ちもあるでしょう。
相続の生前対策は親が元気なうちに始めたいものですが、話をするタイミングや切り出し方は慎重に考えなければなりません。唐突に相続の話を切り出したばかりに、親が心を閉ざしてその後の関係が悪化することさえあります。
■親が「その気」になったタイミングをうかがう
お盆や年末年始など家族が集まる機会は生前対策の話をするにはうってつけですが、そのときに親が相続に向き合う心構えができているとは限りません。まだまだ元気な親に相続の生前対策の話をするには、親が「その気」になったタイミングをうかがうことが大切です。
親が相続に向き合うきっかけとしては、次のような例があります。
・両親のどちらかが亡くなったとき
・親戚が相続でもめていると聞いたとき
両親のどちらかが亡くなったときは実際に相続をしなければなりませんが、その一方で、次に起きる相続について対策を考えるきっかけにもなります。
親戚など身近な人が相続でもめていることを聞いたときも、自身の相続について考えるきっかけになるでしょう。身近な人の相続トラブルを聞くと、「我が家ではこんなことは起きて欲しくない」と思うものです。
親が病気やケガをしてしまった場合や、介護施設に入所するタイミングなども相続について話すきっかけになるという意見もあります。しかし、親の気持ちが落ち込んでいるときに相続の話をすることはおすすめできません。
このようなときは、ひとまず、預金通帳の保管場所や保険の加入状況など差し迫って必要なことだけを聞くようにしましょう。治療費や入院費用、入所費用の支払いに必要と言えば親の理解も得やすいでしょう。
少し難易度は上がりますが、相続とは直接関係のない何気ない話などをきっかけに、相続の生前対策の話をすることもできます。たとえば、マイホームを買ったときの思い出話などから、家を今後どうしていくかという話に持ち込むといった要領です。
■相続対策の話は相続人全員で
相続人となる予定の子供(兄弟姉妹)が複数いれば、相続対策の話は兄弟姉妹全員でするようおすすめします。
特に、親と同居している子供と別居している子供の間では溝ができやすいので注意が必要です。別居している子供を話し合いに加えないと、同居している子供が親の財産を横取りするつもりではないかといった疑いが生じやすくなります。
■アドバイスが欲しい場合は専門家を交えると良い
相続の話を切り出すことができても、その後の話の進め方には不安が残るという方も多いです。その場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士といったお金や税金のプロに相談して進めることも一つの方法です。
公平な立場の第三者が入ることで話し合いがスムーズに進みやすいですし、老後資金の確保や相続・贈与時の節税といった部分もプロの立場で助言が貰えるため一石二鳥の効果を得ることができます。
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