※画像はイメージです/PIXTA

資産家の相続税対策で設立するケースのある資産管理会社は、資産を個人の所有から切り離すことや税務上のメリットを受けることを目的にしています。そのため会社の設立費用や運営の手間は少なくしたいものです。合同会社はこれらのコストを抑えられる会社の種類で、資産管理会社として設立する場合に適しています。今回は相続税対策で合同会社を設立するときに知っておきたい注意点を解説します。

「合同会社」を設立するときの注意点

資産管理会社として合同会社を設立する場合には、社員(出資者)が死亡した場合の対応を決めておくほか、社員の意見が1:1で割れないようにするといった対策が必要です。これらの対策がなければ、会社の運営ができなくなり、資産管理会社を設立した目的が果たせなくなることもあります。

 

■社員が死亡した場合の対応を決めておく

合同会社の社員が死亡した場合は、原則として出資金額が払い戻されます。一人しかいない社員が死亡した場合は、合同会社は解散します。

 

出資持分を承継させたい場合、あるいは合同会社を存続させたい場合は、社員が死亡したときに相続人が出資を承継できるようにしておく必要があります。

 

具体的には、以下のような内容を定款で定めておきます。

 

定款の例(社員が法人である場合にも対応しています)

第〇〇条

社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合には、当該社員の相続人その他の一般承継人が、当該社員の持分を承継して社員となることができる。

 

相続人のうち誰が出資持分を承継するかについては、定款で定めるのではなく、相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)で決定します。もし、特定の相続人に承継させたい場合は、遺言にその旨記載します。

 

なお、社員の死亡によって出資持分を相続した相続人は、合同会社の社員として経営に携わることになります。

 

■社員の意見が1:1で割れないようにする

家族どうしで出資するなど合同会社の社員が複数いる場合には、社員の意見が1:1で割れないように配慮する必要があります。

 

合同会社の意思決定では、原則として社員1人につき1つの議決権を持ちます。社員の数が偶数になっていると、賛成と反対が同数になって意思決定ができなくなることがあります。そのため、複数人で合同会社を設立する場合は、次のような対策が必要です。

 

・社員の数を奇数にする

・定款で業務執行社員を定める(業務執行社員の数は奇数にする)

・定款で社員ごとの議決権の割合を変える

 

合同会社は所有と経営が一致していて、出資割合よりも社員どうしの関係が重視されます。社員の関係が良好であれば問題はありませんが、一度悪化すると業務が立ち行かなくなる恐れがあります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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