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戦略に応じた「感応度」を算出してポートフォリオ調整
ヘッジファンドのファクター分析も多様な手法があるが、簡便な方法は、株式、債券、コモディティなどの伝統的資産やオルタナティブ資産および多様なヘッジファンド戦略に含まれるファクターを抽出し、そこに含まれているファクターと、対象とするヘッジファンド戦略との「感応度」を算出し、その感応度をベースにポートフォリオを調整する方法だろう。
たとえば、GTAA型(詳細は後述)のヘッジファンドでいえば、「先進国株式」や「スプレッド」のファクター感応度が高いことがよく知られている。
ちなみに「GTAA」とは、Global Tactical Asset Allocationの略で、「グローバルな戦術的資産配分」と訳されることが多い。組み入れ資産の対象範囲をグローバルに広げ、たとえば、株式、債券、為替、コモディティなどの配分比率を先物や現物を組み合わせて機動的に変更していく運用手法である。グローバルベースでのタクティカルな戦略をとるため、先進国株式のファクター感応度が高くなることは自然な流れであろう。
また、もう一つの「スプレッド」は、通常、価格差や利回り差(金利差)のこと指す。各資産、各銘柄の間には、価格差や金利差などのスプレッドが存在しており、そこに一つの収益機会を見出すとともに、スプレッドの拡大・縮小の度合いやスピードに応じたリスクの管理を行う。2つの資産や銘柄間の純粋な価格差や金利差を活用することもあれば、イールドスプレッドなど株式と債券間などでの利回り差を活用する戦略もある。
GTAA型のヘッジファンドは資産間でのタクティカルな入れ替え戦略をとるため、スプレッドのファクター感応度が高くなることは当然といえば当然であろう。
ちなみに、ヘッジファンドのCTA(Commodity Trading Advisor)戦略では、「金利」ファクターや移動平均などのトレンド系「テクニカル」ファクターの感応度が高いことが知られている(参照:『ヘッジファンドの「CTA戦略」に分散投資するポイント』)。
CTAやGTAA型ヘッジファンドを新規にポートフォリオに組み込んだ場合、先進国株式やスプレッド、金利、テクニカルのファクターが高まり、逆にウェイトを減らした場合はそれらのファクター感応度が低下する可能性がある。
ポートフォリオ全体として、今、どのようなファクターリスクをとっていて、今後のマーケット予想を踏まえれば、どのようなファクターを増やしたり低下させたりしたほうがいいのかをしっかりと考えながら、ヘッジファンドの種類を選択することも一案だと考える。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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