(画像はイメージです/PIXTA)

配偶者も子どももない独身者が亡くなると、多くの場合は兄弟姉妹が相続人になります。しかし、兄弟姉妹への相続は、配偶者や子どもへの相続とは大きく異なる、留意すべきポイントがあるのです。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

認知症で介護認定を受けていた、独身・子なしの兄

Y子さんのお兄さんである長男Xさんが亡くなりました。Xさんは独身で子どももいません。Xさんは亡くなった時点で父親であるAさんから相続した自宅(1億円)、預貯金3000万円、株式投資信託3000万円等を持っていました。

 

 

妹のY子さんは、当然、自分がXさんの遺産を相続すると思っていましたが、Xさんは亡くなる直前、半年ほど面倒を見てくれていた女性Pさんに、遺産を全部相続させるという遺言を自筆で書いていました。

 

Xさんは、亡くなる直前の1年は認知症で介護認定を受けていて自分の名前を書くのも怪しいほどでした。

 

この場合、Y子さんはどうしたらいいでしょうか? 次の①~③から選択してください。

 

①遺言があるので諦めるほかない。

 

②Y子さんには遺留分があるので、遺言があっても遺留分を請求できる。

 

③Y子さんは兄弟なので遺留分がないことから、遺言を無効として争うほかない。

配偶者も子もない人の相続は、多くは兄弟姉妹だが…

世の中「結婚しない男」というドラマができるくらい、結婚しない男性、結婚しない女性が増えています。また、結婚しても子どもがないまま配偶者とは死別、あるいは離婚して、独身で子どももいないという方も少なくありません。

 

そこで、独身かつ子どもがいない方の相続が増えているのです。独身で子どもがいない方の相続人は、両親、祖父母になるのですが、大抵、被相続人が亡くなるときには、その両親や祖父母は亡くなっています。

 

すると、相続人は兄弟姉妹となります。

 

ただし、兄弟姉妹の相続で注意しなければならないことがあります。それは「兄弟姉妹には遺留分がない」ということです。

 

なぜ兄弟姉妹には遺留分が認められていないのでしょうか? 

 

遺留分は、法定相続人が遺産に対して持つ最低限の権利であり、親や子ども、配偶者は、扶養などの意味から最低限の取り分が必要と考えられています。しかし、兄弟姉妹には最低限の取り分を認めなくてもいいと考えられており、そのため民法では、兄弟姉妹は遺留分の権利者から除外されています。

 

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