(※画像はイメージです/PIXTA)

灘中学に上位5番で合格した和田秀樹氏は勉強の手を緩め、1年半遊んで暮らし、気づけば「落ちこぼれ」になっていたという。授業を理解しようとするのはあきらめ、中1の教科書に戻って独学でやり直すことにしたという。灘中の落ちこぼれが「逆転合格」した勉強法とは。※本連載は、和田秀樹氏の著書『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房、2019年2月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

英語と数学の2教科の先取り学習を進めた

塾の授業は「先取り」が基本ですから、中1レベルに戻ってやり直してくれることはありません。そもそも、当時、灘に通っていた生徒で塾に通っている人はほぼいなかったので、「塾に行く」という発想自体がなかったのですが。

 

ともあれ、英語を得意科目にできたことは、私にとって大きな成功体験となりました。

 

まずはあれこれ手を出さずに

 

①特定の科目に集中することと、
②できなくなった地点に戻って勉強をやり直すこと。

 

この2つが、私の勉強法の基礎となったのです。

 

■「英数先行型」が、東大合格への第一歩

 

私立の有名中高一貫校が東大への多数の合格者を送り出している理由の大きな要素が、先取りカリキュラムです。こうした進学校では、中1から高2までに中高6年間の勉強を一通りクリアし、高3の1年間は志望校向けの受験対策に注力しています。

 

普通の高校生でいうと、「高校3年間」+「1年間の浪人」に相当する勉強を、高校在学中に終えるということです。受験に強くなるのも当然です。

 

ただし、何でも先取りすればよいというものでもありません。すべての教科を高2までに終わらせようとすると、パンクしてしまう可能性があります。

 

そこで、私は、英語と数学の2教科にしぼって先取り学習を進め、ほかの科目は高3になってから本格的な受験対策に取り組む戦術を取っています。これを「英数先行型」カリキュラムと名づけています。

 

もちろん、英語と数学を先行させている間、国語や理科、社会などにまったく手をつけないわけではありません。こういった教科は、学校の授業や定期テスト対策で主に対応します。

 

つまり、学校にいる間にこなしてしまうイメージで、定期テストの対策時以外は、極力家に持ちこまないようにします。英語と数学に専念する「自分の勉強」と、それ以外の科目の基礎を固める「学校の勉強」を上手に両立できるかどうかが、英数先行型を成功させられるかどうかの分かれ目となります。

 

英語と数学が順調に伸びてきたら、高2の夏休みくらいから他の科目にも着手します。

 

ただし、ここでも複数の科目を同時に進めるのではなく、「1科目ずつ仕上げる」というイメージで取り組みます。

 

1日に3科目も4科目も同時並行で勉強すると、さまざまな知識が混じり合って、頭の中でうまく整理できなくなることがあります。これは心理学の実験でも間接的に証明されています。1科目ずつ順を追って仕上げると、「まずこの1科目は仕上がったから大丈夫」という精神的な余裕が生まれます。

 

たとえば、国語の古文が仕上がっていれば、余裕を持って世界史や日本史に取り組むことができます。得意科目を先に仕上げておけば、得意科目で確実に点数を稼ぐことができます。あとは合格者の最低点から得意科目で取れる点を引いて、苦手科目の目標点を下げられるというイメージで取り組めばよいのです。
 

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

公立・私立中堅校から東大に入る本

公立・私立中堅校から東大に入る本

和田 秀樹

大和書房

教育書を多数執筆し、多くがベストセラーになっている実績をもつ和田秀樹氏の渾身の書。 2020年の入試改革への備えにもふれ、具体的なノウハウを数多く入れた。 いわゆる「地頭のいい子」でなくとも、東大を目指せる、合…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧