「在宅療養」介護に悩む家族は多いが…医師が見届けてきた最期 ※画像はイメージです/PIXTA

在宅療養。家族は24時間体制での介護や、苦しむ患者さんを見てつらい思いもするはずです。しかし、病院での生活にはないメリットも確実に存在します。在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき院長、宮本謙一氏が解説します。

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在宅療養の介護はつらいことも多くありますが…

在宅療養中の患者さんを昼夜問わず24時間体制で介護している家族の皆さんは、先の見えない石段や急斜面を登っているかのようなつらい気分に襲われることもあると思います。時には、つらい時間が永遠に続くような絶望的な気分になることさえあるかもしれません。

 

しかし、実際にはそんなことはありません。必ず穏やかな時間、そして、苦難を乗り越えたあとの幸せな時間が待っているはずです。

 

たとえば、認知症の患者さんの場合、徘徊や暴言、暴力がひどくなり、一生懸命介護をしても報われず、絶望的な気分に襲われるかもしれません。そういった症状に対し、やむを得ず「鎮静剤」のような薬を使用することもありますが、それは患者さんの人間性をも奪ってしまう可能性があり、治療をどうすべきか、家族にとっては難しい選択を迫られることになります。

 

しかし、そのような落ちつかない状態がいつまでも続くことはまずありません。家族を含む周囲の方の患者さんへの接し方、声の掛け方や生活環境の工夫などで、そのような症状の改善が期待できます。

 

また、認知症は少しずつ進行していきますが、それとともに多くのケースで患者さんは徐々に穏やかになり、徘徊や、暴言、暴力といった激しい症状は影を潜めていきます。

 

がんの終末期の患者さんの場合、がんの進行に伴い痛みがどんどん悪化したり、急に食事が取れなくなったり、身の回りのことができずにほぼ寝たきり状態になったり、急激に病状が悪化する時期があり、家族の心労と介護負担が急激に増大し、在宅療養を支え続けることに限界を感じるかもしれません。

 

しかし、そのつらい状態がずっと続き、誰も助けてくれないなどということは絶対にありません。病状は常に変化します。

在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき 院長 医学博士

奈良県立医科大学卒業後、同大学の医局「第2内科」に入局。

第2内科の専門は喘息、肺気腫などの慢性呼吸不全、肺がんなどの呼吸器疾患、感染症、白血病など。病棟にて多くの患者の「緩和ケア」や「看取り」を経験。

誰もがいつかは「死」を迎えるという当たり前の事実に対して医師として何ができるかを考え、医師になって7年後に公衆衛生医師となる。

治らない病気をその手前で食い止めること、すなわち病気の予防に力を入れる。具体的には結核や新型インフルエンザなどの感染症対策、小児救急医療や周産期医療に関連する児童虐待対策、がん対策や生活習慣病対策などに従事。

2011年3月、東日本大震災の被災地の自治体や保健所に長期間派遣されたことを機に、もう一度、現場の医師として歩むことを決意。

その後、在宅医療の現場にたどり着くなかで「笑いヨガ」と出会い、「笑い」を在宅医療に取り入れる活動を行っている。がんや認知症を含めさまざまな疾患のある方に、在宅で穏やかに、楽しく過ごしてもらうことがモットー。

著者紹介

連載在宅医療を楽しみ、たくさん笑って過ごすために

※本連載は、宮本謙一氏の著書『在宅医療と「笑い」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

在宅医療と「笑い」

在宅医療と「笑い」

宮本 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

在宅医療は、通院が難しい高齢の慢性疾患の患者さんや、がんの終末期の患者さんなどが、自宅で定期的に丁寧な診察を受けられる便利な制度です。 メリットは大きいのですが、うまくいかないときもあります。 医師や看護師…

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