(※写真はイメージです/PIXTA)

開業医にとって毎月月初は、レセプトチェックに追われる繁忙期です。チェック作業に費やす時間を何とか減らせないものかと悩む医師も多いでしょう。業務時間が長引く原因は、クリニック業界ならではの「慣習」のせいかもしれません。こんなチェック方法をしていませんか? 医療機関コンサルの筆者が解説します。

レセプトチェックに追われて憂鬱…を解消するために

開業医の方が「レセプト」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、「レセプト週間」ともいわれる毎月月初の繁忙期ではないでしょうか? クリニックや病院等の医療機関において、レセプト業務は“一大イベント”です。月初の10日間は、「レセプト週間」として他のどの業務よりも優先される空気が流れています。

 

クリニックが流行れば流行るほどその負担は増す一方で、レセプトチェックに追われて残業を余儀なくされる等、憂鬱に感じられる方も少なくないように感じます。「レセプトチェックに費やす時間を極力減らしたい」というのは、すべての開業医の方に共通する願いでしょう。

 

一般的に、クリニックでは1人ないし2人の経験者により毎月のレセプト業務が行われています。「経験者」であるにもかかわらず、業務時間が短縮されていないのは、電子カルテの機能を十分に使いこなせていないことに尽きます。

「電子カルテだけ」で医事業務が完結する時代なのに…

保険請求事務(レセプト請求)の歴史を振り返ると、「紙カルテ+紙レセプト」の時代から「紙カルテ+電子請求(レセコン)」へと電算化が進み、現在の一元化された「電子カルテ」に進化してきました。レセプトの電子請求は全医療機関の98%にまで達している一方、電子カルテの普及率は一般診療所(クリニック)で41.6%(2017年時点)というデータがあります【図表】。

 

出典:医療施設調査(厚生労働省)
【図表】電子カルテシステム等の普及状況の推移 出典:医療施設調査(厚生労働省)

 

全医療機関の統計でしょうが、私がここ10年の間にご支援させていただいた新規開業のドクターは、精神科を除き、電子カルテを100%導入しています。開業医の年齢を60歳以下に絞ると、かなりの普及率になっているのではないでしょうか。

 

かつては電子カルテ導入に対する消極派が多数いましたが、もはやそんな議論すらなくなりました。現在、電子カルテは「第三世代」に突入し、従来デメリットとして考えられてきたことの大半が改善されています。

 

初めて市場に投入された「第一世代」は、紙カルテの情報を電子媒体に変更する程度の使い方が一般的でした。その後、レセプト機能を充実させてさらに進化した「第二世代」は、医療事務の効率化に大きく貢献しています。そしてチェック機能を内在している「第三世代」は外部ソフトに頼らなくても、単体ですべての医事業務を完結させられるレベルにまで到達しています。完全形態には至っていませんが、かなりの事務コストを削減することができます。

 

一昔前の電子カルテには性能にバラツキがありました。ユーザーのニーズに応えるべく開発されたので、過去カルテの閲覧が得意な機種、他の機器との連動が得意な機種、薬剤情報に特化した機種、レセプト機能に特化した機種等、それぞれが「とがった機能」を誇っていました。現在はメーカーごとの機能差がなくなり、インターフェースの設計くらいしか違いが見つかりません。

次ページこんなチェック方法では業務効率ダウン

※本連載は、柳尚信氏の著書『クリニック経営はレセプトが9割』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

クリニック経営はレセプトが9割

クリニック経営はレセプトが9割

柳 尚信

幻冬舎メディアコンサルティング

人口は減少の一途をたどり、クリニックも激しい生存競争にさらされる時代。売上の伸び悩み、他院との差別化がうまくできていないなど、経営に頭を抱えるドクターが増えています。 そんな方々を助けるカギとなるのが、診療報…

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