ワクチン接種意向は高まったが、副反応への不安は依然として高い~効果を認めつつも接種を躊躇している人をどう後押しするか

ワクチン接種意向は高まったが、副反応への不安は依然として高い~効果を認めつつも接種を躊躇している人をどう後押しするか
(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年7月20日に公開したレポートを転載したものです。

5―おわりに

直近の7月時点における新型コロナウイルスのワクチン接種意向を、3月に行った調査と比較した結果、優先接種の対象である65歳以上を中心として、ワクチン接種は進んでおり、「しばらく様子を見てから接種したい」といった接種にやや消極的であった人は減少していた。しかし、「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」は、3月に引き続き若年で多く、3月と比べて低下していなかった。

 

すぐには接種を希望しない理由は、3月調査と比較して、国内での接種が進んできたことにより、“順番待ち・様子見”に分類される理由は低下していた。

 

また、「副反応の程度や症状についての情報が少ない」や「効果が明確ではない」は低下していた。各種報道等により、ワクチン接種が進んでいる国において死者が減っていることや、国内でも高齢者の新規感染者が減っていることなどで効果を感じるようになってきたこと、現役世代における副反応や、2回目の接種後の副反応についての情報が得られるようになってきたことで、情報が少ないことによる不安が低下していることによると考えられる。

 

一方、「副反応が心配」「将来的な安全性が確認できていないと思う」は、3月調査と比べて低下していなかった。情報が増えても、現在得られている情報では、副反応や将来的な安全性についての不安はぬぐい切れていない可能性がうかがえる。こういった“安全性への不安”は、新型コロナウイルスに感染した場合のリスクが高いとされる年齢が高い層でも高い点が懸念される。

 

“安全性への不安”“順番待ち・様子見”で、すぐには接種を希望しない人は、今後、ワクチンの効果が明らかになったり副反応が抑えられたりすれば、ワクチン接種に前向きになると答えていた。

 

“順番待ち・様子見”の人では、家族や医療従事者に勧められることのほか、クーポンやポイント等の直接的なメリットが得られることで前向きになると答えている人もいた。“面倒”ですぐには接種しない人も、家族や医療従事者に勧められることは後押しになる可能性があった。

 

「ワクチンパスポート」の導入は、すぐには接種を希望しない人においても慎重な議論は求めているものの、4割弱で利用意向があり、利用意向なしや反対を上回っていた。特に、“順番待ち・様子見”や“ワクチンの種類を選びたい”は、利用意向が高かった。

 

これらのことから、“順番待ち・様子見”や“ワクチンの種類を選びたい”は、いずれワクチンを接種することを前提としており、こういった政策によって後押しになる可能性があると考えられる。

 

現在、ワクチン忌避への対応ついては、ワクチン接種不安をあおる誤情報やデマへどう対処するかが話題となっている2

2例えば、NHKワクチン接種特設サイト「ワクチン接種 不安あおる誤情報やデマ どう対処する?」等

 

誤情報等によって、特に若い層で、ワクチン接種に対して、強い反発を感じている人が課題となっているようだ。

 

しかし、ワクチンの効果を認めているが副反応への不安から決断がつかずしばらく様子を見ようとしていたり、面倒さや、ワクチンの種類を選ぼうとして、接種を躊躇している人もいる。“安全性への不安”は、新型コロナウイルスに感染したら重症化や死亡リスクが高いとされる年齢が高い人にも多い。

 

今回の結果から、身近な人や医療従事者からの推奨、クーポンやポイントの付与、ワクチンパスポートの国内利用等が決断の後押しになる可能性があった。

 

誤情報やデマへの対応は必須であるが、ワクチンの効果を認めつつも副反応への不安から、決断が遅れてしまっている人への対応を強化していくことも重要ではないだろうか。

 

[図表7]すぐには接種しない理由の因子分析
[図表7]すぐには接種しない理由の因子分析

 

 

村松 容子

ニッセイ基礎研究所

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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