3―すぐには接種を希望しない理由
1.“安全性への不安”“ワクチン不要”“面倒”“順番待ち・様子見”“ワクチンの種類を選びたい”
まだ予約をしていない人のうち、「しばらく様子を見てから接種したい」「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」といった、すぐには接種を希望しない人の理由を因子分析した結果、すぐには接種を希望しない理由は5つの因子に分けられ、それぞれ“安全性への不安”“順番待ち・様子見”“面倒”“ワクチン不要”“ワクチンの種類を選びたい”とした[図表7]。抽出された因子のうち4つ目までは、3月調査と同様であった。
7月調査で新しく理由の選択肢に入れた「まだ予約券が届いていない」は、“順番待ち・様子見”に、「接種の日時や会場に拘束されたくない」は“ワクチン不要”に分類され、「ワクチンの種類を選びたい」は新たな1つの因子と考えることができた。
現在のところ、自治体の集団接種やかかりつけ医等の個別接種ではファイザー社製品が、大規模接種会場や職域接種ではモデルナ社製品が使われていることから、副反応を比較して、より自分にとってリスクが低そうなワクチンを打てる会場で予約をしたいという人が出てきたようだ。
2.すぐには接種を希望しない最多の理由は「副反応が心配」。年齢が高い層で“安全性への不安”。
すぐには接種を希望しない理由で、もっとも高かったのは「副反応が心配(51.6%)」だった[図表2]。
次いで「副反応についての情報が少ない(36.7%)」「将来的な安全性が確認できていないと思う(34.8%)」「効果が明確でない(25.2%)」等、“安全性への不安”が高かった。
次いで、「まだ予約券が届いていない(22.7%)」「まだ日本国内でのワクチン接種が進んでいない(12.4%)」「まだ医療従事者や、高齢者などの接種が終わっていない(8.9%)」「まだ身近な人が接種して問題がないことが確認できていない(7.8%)」といった“順番待ち・様子見”が高かった。
性・年齢、持病の有無、接種意向別にみると、“安全性への不安”を理由とするのは、女性、年齢が高い層、持病がある人や食品や薬物にアレルギー反応を起こしたことがある人で高い傾向がある。
そして、「あまり接種したくない」と回答している。“順番待ち・様子見”を理由とするのは、50代で高く、女性に多い傾向がある。接種意向は、「しばらく様子を見てから接種したい」が高い。
“面倒”“ワクチン不要”を理由とするのは、若い人で高く、「絶対に接種したくない」という回答も多かった。“安全性への不安”は、新型コロナウイルスに感染した場合のリスクが高いとされる年齢が高い層でも高い点が懸念される。
3.効果への認識は進み、副反応に関する情報も増えたが、「副反応が心配」は低下していない
3月調査と比較すると、「副反応の情報や症状についての情報が少ない」「効果が明確ではない」「まだ日本国内でのワクチン接種が進んでいない」「まだ医療従事者や、高齢者などの接種が終わっていない」「まだ身近な人が接種して問題がないことが確認できていない」「2回接種することが面倒」「接種会場での感染リスクがある」を理由にあげた割合は低くなっていた。
副反応についての情報が少ないといった印象は、この3か月あまりで、ワクチン接種者の体験談のほか、厚生労働省「厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)」による副反応事例が頻繁に更新されていることから改善されたようである。
また、国内で優先接種対象者のワクチン接種が進んだことで、“順番待ち・様子見”に分類されていた理由も大きく改善していただけでなく、効果についての不安も改善されたようである。さらに、大規模接種会場や職域接種会場の設置、予約方法の改善、接種会場での感染リスク軽減のための取り組み等がニュース等で度々取り上げられているためか、「2回接種することが面倒」「接種会場での感染リスクがある」も低下していた。
しかし、すぐには接種を希望しない大きな理由である「副反応が心配」や「将来的な安全性が確認できていないと思う」は、3月調査と比べて低下していなかった。