(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、分散投資の対象としても有効な「米国ヘルスケアリート」と「東証上場インフラファンド」について見ていきます。

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ESGの視点からも資金流入が期待「東証インフラF」

ここでは、好利回り商品のオルタナティブ資産の一つである東証上場の「インフラファンド」について紹介したい。

 

低金利下、好利回り商品として投資家の人気を集めるJリートの値動きを示す「東証REIT指数」は、コロナショックにより2020年3月に急落局面を迎え、一時は年初来高値から50%ほど調整した。

 

一方、同じ好分配の投資対象である東証インフラファンド(以下、東証インフラF)は相対的に下落率が小さく、値動きの異なる新たな国内の好利回り資産として投資家の注目を集めた。

 

東証インフラFは、太陽光発電関連設備を保有し、それをオペレーター(発電事業者兼テナント)に賃貸して賃貸料を受け取ることで収益を上げる仕組みだ。この東証インフラF市場は2015年4月に開設されたまだ新しい市場で、2021年7月末時点で東京証券取引所に以下の7銘柄が上場している。

 

【東証インフラファンド市場に上場する銘柄】
タカラレーベン・インフラ投資法人(9281)、いちごグリーンインフラ投資法人(9282)、日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)、東京インフラ・エネルギー投資法人(9285)、エネクス・インフラ投資法人(9286)、ジャパン・インフラファンド投資法人(9287)

 

2021年7月末時点の東証インフラFの時価総額は約1600億円と、Jリートの時価総額(約17兆円)を大きく下回る。一方で、東証インフラFの平均分配金利回りは5~6%程度と高く、Jリートの3%台の平均分配金利回りを上回る好分配資産となっているのが特徴だ。

 

上述のように、東証インフラFの市場規模は依然として小さいが、「株式等の伝統的資産」と「Jリート等のオルタナティブ資産」との相関(値動きの度合い)が極度に高まる場面でも異なる値動き(下落率が小さい)となったことは、今後の東証インフラFの市場拡大にとって新たな好利回りの分散投資対象としてポジティブに働いてこよう。

 

また、東証インフラFは世界的な潮流となっている「ESG」の投資対象としても拡大が期待できる。なお、東証公表の資料では、東証インフラFとESGの関係として次のような面が挙げられている。

 

●E(環境):再生可能エネルギーの導入促進による二酸化炭素の排出量削減

●S(社会):有効活用が困難であった地方の土地の有効活用、当該地方での雇用機会の創出、税収の増加等の地域経済振興

●G(企業統治):リートと同様、法令において投資家保護が図られた企業統治システムを採用

 

このような観点から、東証インフラFには、ESG対象資産の多様化・分散化を図ろうとする投資家からの長期的な資金流入が期待できよう。そのため、金・原油等のコモディティ(商品)やリートなどと共に、長期的な市場の拡大が期待される東証インフラFを分散投資対象としてポートフォリオの一部に加えることで、リスクの低減やリターンの向上を図ることも一案だろう。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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