(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、分散投資の対象としても有効な「米国ヘルスケアリート」と「東証上場インフラファンド」について見ていきます。

米国の「ヘルスケアリート」の種類と主な銘柄

米国の「ヘルスケアリート」は、シニア住宅、高度看護施設、医療用ビル、病院などに投資するリート(不動産投資信託)のことで、ディフェンシブセクターとして位置づけられる。

 

リートが運営コストを負担する一方、子会社等を通じてシニア住宅の利用者にサービスを提供し、運営利益の一部を享受できるのが特徴だ。1970年からの長い歴史を持ち、ベビーブーマー世代の退職に伴ってシニア住宅の需要が拡大して発展し、今後も需要拡大が期待される。

 

各投資対象について簡単に説明する。

 

◆シニア住宅

シニア住宅には、①比較的自立性の高い高齢者向けの賃貸住宅(自立型シニア住宅)と、②軽度の介護を要する高齢者向け賃貸住宅(支援型シニア住宅)が含まれる。

 

◆高度看護施設

高度看護施設は、看護師が常駐し、重度の介護を要する高齢者向けに24時間体制の看護サービスを提供する施設で、リハビリテーションなどの短期治療と長期介護の双方のサービスが含まれる。米国の医療費は高く、保険日数も限られているため、平均入院日数は日本に比べて圧倒的に短い。そのため、病院を退院したあとに高度看護施設を利用するケースも多いと言われている。

 

◆医療用ビル

医療用ビルは日本の医療モールに似た施設で、多くのリートが運用資産の一部として一定の割合を組み入れているが、病院への投資比率はそれほど高くないのが特徴だ。

 

上記以外にも、自立型シニア住宅、支援型シニア住宅、高度看護施設を同じ敷地内に集約した終身介護コミュニティ(CCRC:居住者が移転や更なるコスト負担をすることなく暮らし続けることができる施設)に投資するリートもある。なお、米国のヘルスケアリートの代表的な銘柄には、次のようなものがある

 

【米国のヘルスケリートの主な銘柄】
ウェルタワー(WELL)、ベンタス(VTR)、ヘルスピーク・プロパティーズ(PEAK)

 

ちなみに、日本の特化型ヘルスケアリートは、ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)の1銘柄となっている。しかし、大和証券リビング投資法人(8986)及びケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(3278)もヘルスケア関連リートとして捉えられている。

 

足元、デルタ株を中心とした新型コロナウイルスの拡大懸念は、ヘルスケア施設の入居率への不透明感を強めやすく、他のリートセクターと比較し、選好されにくい状況にある。

 

しかし、長期的な高齢者ニーズの拡大やワクチン接種の進展による先行きの経済正常化の流れに大きな変化はないとみられ、調整場面では押し目買いを行い、米国のヘルスケアリートを組み込むことで分散ポートフォリオの構築を図ることも一案だろう。

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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