「株式保有特定会社」という区分には注意が必要
純粋持株会社は、どのように収益を上げるのかといえば、子会社からの配当金になります。事業持株会社であれば事業収益+配当金です。
ところで、いずれの場合においても、その持株会社の貸借対照表における総資産のうち、子会社を含む株式・出資の割合が相続税評価額ベースで50%を超えると、株式評価の区分上「株式保有特定会社」という区分になります。
特定会社の場合は、会社の規模にかかわらず原則として類似業種比準方式は使えず、純資産価額方式での株価評価になります。純粋持株会社の場合は、子会社株式以外の資産はあまりもたないケースが多いので、これに該当しやすくなります。
また、事業持株会社の場合でも、子会社が高収益企業の場合、子会社株式の相続税評価額は年々高くなっていきますので、最初は総資産の50%以下だったのに、いつの間にか50%を超えているということにもなりかねません。
そうすると、親会社の株式評価で類似業種比準方式が使えなくなるので、親会社の株式評価も高騰してしまいます。
逆に、子会社株式以外の資産が増えれば、総資産に占める子会社株式の割合が50%以下になれば、株式保有特定会社に該当しません。例えば、投資計画を検討しており、不動産などの設備の導入があれば、結果的に子会社株式の占める割合は下がります。
これは、事業持株会社ではなく純粋持株会社でも同様です。
ただし、「株特外し」のために、親会社が行う不合理な取引は、税務当局からは、株価を下げることだけを目的とした意図的な操作だと見なされ、否認される可能性が高く、実際に課税漏れを指摘されるケースが発生しているので注意が必要です。
税理士法人 チェスター
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