不動産の共有状態を解消する5つの方法
国税庁のまとめによると、相続財産のうち土地や家屋といった不動産の金額が占める割合は全体の39.6%(土地:34.4%、家屋:5.2%)とその他の財産に比べて最も多いことがわかっています(「令和元年分の相続税の申告実績の概要」より)。
特に東京やその近郊の相続では不動産だけで8割や9割以上占めるというケースもあり、そのようなケースにおいて相続人が複数いる場合には遺産分割の方法について苦慮し、時としてトラブルになってしまうことも珍しくありません。
その結果しばしば辿り着くのは、結論の先延ばしとする“とりあえずの共有“です。
共有はメリットがあまりないのでできれば避けたいものですが、相続人間の関係が良好であってもやむを得ずそれを選択せざるを得ないこともあります。
ひとたび共有にした不動産については、その共有状態を解消する方法として①共有物分割②売買③交換④贈与⑤信託が考えられます。以下で、①の共有物分割に関する事例を見ていきましょう。
なぜ「共有」は避けたほうがいいのか?
遺産分割の方針が「平等に分ける」ということだけ決まっている場合、共有にすることは平等を実現するためにはこの上ない形と言えますのでその点は共有のメリットです。
しかし、民法において共有物についての処分や管理などに関する以下のようなルール(図表1)があることが特に共有の大きなデメリットとなります。
つまり、共有者間で意見の相違が生まれた場合には、その共有不動産の活用や処分がまったく行えなくなってしまうリスクを孕んでいるということです。
親子間の共有については、将来的な親の相続により必然的に共有が解消されることもあり、基本的には大きな問題になりませんが、兄弟姉妹間での共有ではそれぞれに配偶者や子がいれば相続による世代交代により共有者間の関係性が遠くなり、また、その数も増えていくことで処分や管理などに関する意思決定についての統制がどんどん取りづらくなっていってしまいます。
そのため、近い将来における売却を前提とする場合を除いて“兄弟姉妹での共有は避けるべし“といういわば鉄の掟があるのです。
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